(4) 品質管理担当者(Quality Control, QC)
品質管理部門に所属して、各文書の記載内容や治験の手順がSOPに従っているか、チェックを行う。原則として、全数調査を行う。たとえば、治験依頼者と実施医療機関の間で締結された、治験の契約締結日と、治験薬受領日の記録を参照して、契約締結前に治験薬が交付されていないか。被験者の同意日と登録日の記録をチェックして、同意取得前に被験者登録をしていないか、といった確認を行う。
(5) 監査担当者(Quality Assurance, QA)
監査部門に所属し、治験システムの監査や、個々の治験の監査を担う。治験システムの監査では、治験薬保管、資料保管、会議運営などの治験組織体制が正しく機能していることなどが確認される。個々の治験の監査では、治験がGCP、SOP、PCなどを遵守しているか等が確認される。監査は、抽出調査で行われることが一般的であり、監査結果は、監査報告書にまとめられる。監査を実施したことの証明書として監査証明書が総括報告書に添付されて、承認申請時にPMDAに提出される。
5|登録センターは無作為化二重マスク試験の、ランダム化とブラインド化を担う
治験依頼者は、被験者を登録するために、登録センターを設置することが一般的となっている。登録センターは、被験者として組み入れる患者等が、PCに規定された選択・除外基準に適合しているかを、治験実施関係者から独立した第三者の目で確認する。
通常、治験では、「無作為化二重マスク試験」が行われる。被験者を実薬群と対照群(プラセボ群、標準治療群等)に分ける際、被験者自身や治験関係者が割り付けの内容を知ってしまうと、治験結果そのものや、その分析・評価に偏り(バイアス)が生じてしまう恐れがある。こうしたバイアスを避けるために、被験者の無作為な割り付け(ランダム化)と、どちらに割り付けられたかを二重マスク
6すること(ブラインド化)が必要となる。
登録センターは、実施医療機関の治験責任医師や治験分担医師から送付された症例登録用紙を確認して、適格であれば症例登録する。この症例登録によって治験薬の割付が行われる。登録センターから医療機関に、適格性の判定結果とともに、被験者の登録番号と薬剤番号が通知される。それらの番号をもとに、治験が実施される。
なお、重篤な有害事象(SAE)が発生した場合には、対象の被験者について、ブラインド化を解除(「緊急開錠」という)して、被験薬の投与の有無を確認するかどうか、治験依頼者が審議する。緊急開錠の判断がなされるまでの間は、登録センターで、割り付けの情報が管理される。
6 被験者と治験関係者のいずれにも割付内容がわからないよう、二重にマスクをかける意味合いから、このように呼ばれる。