保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也(しのはら たくや)
研究領域:保険
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
5――ワクチンの治験
(参考) 新コロナウイルス感染症ワクチンの治験
新型コロナウイルス感染症について、日本では、現在(2021年7月)までに3つのワクチンが特例承認 * のうえ、実用化されている。治験で確認された、主な有効性と安全性についてまとめておく。
(1) ファイザー社のワクチン「コミナティ筋注」 (2021年2月14日特例承認)
1) 有効性
海外の第II/III相試験において、治験薬接種前から 2回目接種後7日以前にSARS-CoV-2感染歴がない被験者における発症予防効果(ワクチン有効率)は、95.0% [95%信用区間:90.3~97.6%]
2) 安全性
海外の第I/II/III相試験では、重篤な有害事象(SAE)が本剤群126/21,621例(0.6%)、プラセボ群111/21,631例(0.5%)に認められた。死亡例は、本剤群2例、プラセボ群4例に認められ、いずれも治験薬との因果関係は否定された。なお、国内の第I/II相試験では、死亡及びSAEは認められなかった。
(2) アストラゼネカ社のワクチン「バキスゼブリア筋注」 (2021年5月21日特例承認)
1) 有効性
海外の第II/III相試験において、主解析対象集団**の2回目の接種後15日以降に発現した初発のCOVID-19発症に対する発症予防効果(ワクチン有効率)は、70.42% [95%信用区間:54.83~ 80.63%]
2) 安全性
海外の第I/II/III相試験では、SAEが本剤群108/12,282例(0.9%)、対照群127/11,962例(1.1%)に認められた。死亡例は、本剤群2例、対照群5例に認められ、いずれも治験薬との因果関係は否定された。国内の第Ⅰ/Ⅱ相試験では、本剤群において死亡及びSAEは認められなかった。
(3) 武田/モデルナ社のワクチン「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」 (2021年5月21日特例承認)
1) 有効性
海外の第III相試験において、治験薬接種前から2回目接種後14日以前にSARS-CoV-2感染歴がない被験者における発症予防効果(ワクチン有効率)は、94.1% [95%信頼区間:89.3%~96.8%]
2) 安全性
海外の第III相試験では、SAEが本剤群147/15,185例(1.0%)、プラセボ群151/15,166例(1.0%)に認められた。死亡例は、本剤群6例、対照群7例に認められ、いずれも治験薬との因果関係は否定された。国内の第I/II相試験では、本剤群において死亡及びSAEは認められなかった。
* 医薬品医療機器等法(薬機法)第14条の3第1項の規定に基づき、(1)疾病の蔓延防止等のために緊急の使用が必要、(2)当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、(3)海外で販売等が認められている、という要件を満たす医薬品につき、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度。
** 2回とも標準用量、もしくは、1回目低用量・2回目標準用量として、2回接種した集団
※「今後の新型コロナワクチンの接種について」(第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会, 資料1, 2021年2月15日)および「新型コロナワクチンの接種について」(第21回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会, 資料1, 2021年5月21日)をもとに、筆者が表現を一部改変
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
研究領域:保険
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員