中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
2―3月17日のEIOPAによる声明
キーメッセージ
事業継続性
1.保険会社が顧客へのサービスを維持できることが特に重要である。この意味で、保険会社は事業継続性を確保するために必要な対策を実施する準備ができている必要がある。
2.コロナウイルスへの対応において運用上の救済を提供するために、監督官庁(NCAs)は、2019年末に関する監督報告と公開のタイミングについて柔軟である必要がある。EIOPAはアプローチの詳細を調整する。
3.さらに、短期的には、EIOPAは業界への情報の要求と協議を、市場の現状の影響を評価及び監視するために必要な必須要素に制限する。
4.EIOPAは、2020ソルベンシーIIレビューの全体的な影響評価の期限を2か月延長して2020年6月1日まで延長する。今後数日間で、EIOPAは追加のレポート及び情報要件の延期に関する詳細を通知する。
ソルベンシーと資本のポジション
5.ソルベンシーIIに基づき、EUの保険会社は、ソルベンシーの資本要件に対応するために、継続的に十分な適格自己資本を保有する必要がある。 リスクベースのソルベンシー資本要件により、保険会社は重大な損失を吸収し、保険契約者と受益者に支払いが期日通りに行われることを確信させることができる。
6.さらに、ソルベンシーIIフレームワークには、ソルベンシー資本要件と最低資本要件の間に監督上の介入のラダーが含まれている。これは、会社の財源が下回ってはならない最低限のセキュリティレベルである。 これにより、たとえば、ソルベンシーII指令の第138条で予測されているように、影響を受ける保険会社の回復期間を延長するための措置を含む、極端な状況の場合における柔軟性が認められる。
7.さらに、最近のストレステストは、セクターが十分に資本化されており、システムへの深刻であるがもっともらしいショックを阻止できることを示している。
8.ソルベンシーIIフレームワークには、セクターへのリスクと影響を軽減するために使用できるいくつかのツールも含まれている。 EIOPAとNCAsは、保険契約者の保護を維持し、金融の安定性を保護するために、必要に応じて調整された方法でこれらのツールを実装する準備ができている。
9.それにもかかわらず、保険会社は、慎重な配当と変動報酬を含むその他の分配政策に従い、被保険者の保護とのバランスをとって資本ポジションを維持するための措置をとるべきである。
10.EIOPAは、既存のツールと権限に関係なく、また各国当局及び他のESAとESRBとともに、状況を監視し続け、市場変動の影響を緩和し、欧州の保険セクターの安定性と保険契約者の保護の守るために、必要な措置をEU機関に実施又は提案する。
3―4月1日のEIOPAによる声明
4―4月2日のEIOPAによるUPDATE
II.現在オープンな市場への協議/リクエスト
6.EIOPAのコンサルテーションペーパー又は証拠の要求に対応する金融機関の能力は、現在の状況によって影響を受けることが想定されるため、現在オープンな市場への協議に関連して協議期間を延長することを提案する。新しい協議期間の終了日の詳細は、以下の通りとなる。
a)ソルベンシーII監督報告及び公開情報開示に関するパッケージの技術的実装手段のレビュー、コメント期限は2020年4月20日から6月1日まで6週間延長される。
b)PEPP (汎欧州個人年金商品)ITSに関する協議、コメント期限は2020年5月20日から6月17日まで4週間延長される。
c)IBOR(銀行間調達金利指標)移行に関するディスカッションペーパーに関する協議、コメント期限は2020年4月30日から6月30日まで9週間延長される。
d)市場と信用リスクの比較調査、情報リクエストの期限は5月31日から7月3日まで5週間延長される。
III.市場へのBoS(Boards of Supervisors)承認(ディスカッションノートを含む)の過程での公開協議
7.バリューチェーン/インシュアテックに関するディスカッションノート、コメントの公表は未定
8.保険ストレステストの方法論の原則に関する第2のディスカッションペーパー、パブリックコメントの公表は未定
IV.Q1(第1四半期)からQ2(第2四半期)に開始する金融機関へのデータ要求(EIOPA AWP 2020のカレンダーからの情報)
9.データリクエストのリストを以下に示す。
a)いかなる場合でも、会社へのLTGレビュー情報要求を実施しないように計画された。NCAsへの情報要求は、Q2からおそらくQ3に延期される。
b)気候リスク感応度分析2020、2020年の気候関連の移行リスクに関するエクササイズのロードマップで合意されたように、FS目的で報告するグループへのトップダウン要素及び定性調査に使用できるデータを完了するためのデータリクエストはキャンセルされる。利用可能な情報を使用してレポートが実行される。
c)Q1/Q2に計画されたソルベンシーIIデータを補完する保険会社への超低利回りの影響に関する作業のデータ収集は、必要に応じてCOVID-19の反映を組み込むためにも後で開始される。
5―4月3日のEIOPAによる声明