中小企業における企業年金等の拡大が重要

2019年10月03日

公的年金の実質的な支給額の縮小が避けられない中、企業年金は退職後所得において重要な役割を持つことになる。

賃金水準が相対的に低く、公的年金に占める基礎年金の割合が高いほど、受給期における公的年金縮小の影響が大きいことを踏まえると、とりわけ中小企業において、企業年金の重要性は高い。

しかし実際には、企業年金の導入は大企業に偏っており、中小企業における企業年金の導入割合は決して高いとは言えない。

こうした状況を改善すべく、昨年5月には中小企業向け制度として、簡易型DCやイデコプラス(中小事業主掛金納付制度)が創設されたが、その導入状況も順調ではない。

中小企業における企業年金等の普及は容易ではない。しかし、企業による資産形成のサポートが、中小企業の従業員にとって貴重であることは、今後も変わることはない。

従業員の退職後の所得形成を支援する中小企業の増大に向けて、従業員数100 人以下の事業主に限られる簡易型DCやイデコプラスの導入可能範囲の拡大を含めた、継続的な検討が求められる。
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