経済産業省「電子商取引に関する市場調査」によれば、2018年のネットオークションの推定市場規模
9は約10,133億円(前年比0.9%増)、フリマアプリの推定市場規模は約6,392億円(前年比32.2%増)と拡大が続いている。
シェアリングエコノミーが更に進展するためには、消費者の不安解消および法規制の再整備が必要との指摘がある
10。これに対しては、「シェアリングエコノミー推進プログラム
11」の開始や「シェアリングエコノミー促進室」の設置(2017年1月)等、シェアエコノミーの認知度向上等に寄与する取組みが始まっている。
上記の取組み等に後押しされ、今後もシェアリングエコノミー市場の拡大は継続すると見込まれる。
総務省「平成30年版 情報通信白書」では、「シェアリングエコノミーの進展による新市場の創出に伴い、既存市場への負の影響も生じる可能性がある。シェアリングエコノミーが拡大すると新品の購入が減る可能性がある」と指摘されている。インターネットショッピング等に与える影響を懸念される一方で、フリマアプリ等を通じた商品の二次流通が新品の購入意欲を刺激するとの見方もある。現時点では、シェアリングエコノミーの拡大が、インターネット通販市場成長の推進もしくは阻害要因とは断言できない。
ただし、個人から個人へ商品を送るシェアリングエコノミーでは、インターネット通販と同様に荷物の配送が重要となる。上記のメルカリは、ヤマト運輸と提携した出品した荷物の発送サービス「らくらくメルカリ便」を、2018年5月から全国のセブンイレブンの店舗での受付を開始している。シェアリングエコノミーの拡大が宅配便取扱個数をさらに押し上げ、前項に示したラストワンマイルにおける人手不足に拍車をかけることは懸念される。
7 場所・乗り物・モノ・人・お金等の遊休資産をインターネット上のプラットフォームを介して個人間で賃借や売買、交換することでシェアしていく新しい経済の動き。
8 インターネット上の仮想のフリーマーケット内で個人同士が衣料品や雑貨等を自由に売買可能なスマートフォン専用のアプリ(もしくは、仮想のフリーマーケット取引市場の総称)
9 BtoB、BtoCの取引を含む
10 中美尋『シェアリングエコノミーが日本産業に与える影響』みずほ銀行産業調査部、Mizuho Industry Focus、2018年6月21日
11 (1)自主的ルールによる安全性・信頼性の確保、(2)グレーゾーン解消に向けた取組等、(3)シェアリングシティー構想の推進、(4)シェアリングエコノミーの普及・啓発を行う。
3――インターネット通販の成長分野と物流施設利用