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水防法の内容
水防法は1949年に制定された法律で、その目的は、洪水、雨水出水、津波・高潮に際して、水災を警戒し、防御し、被害を軽減し、公共の安全を保持するということにある。(水防法第1条)
そのための組織と活動については、基本的には市町村が水防の責任をもつということになっている(水防法第3条)。しかし、地形の状況により、市町村が単独で責任を果たすことが困難または不適当である場合には、複数の関係市町村が、対象区域を定めた上で「水防事務組合」を設けなければならない(水防法第3条の2)。
さらに広域となる都道府県は、「その区域における水防管理団体(市町村、水防事務組合など)が行う水防が十分に行われるように確保すべき責任を有する」とあり(第3条の6)、ひとつの市町村だけにとどまらない状況下における水防の責任があるということになる。また水防上公共の安全に重大な関係のある水防管理団体を指定するのも都道府県知事である(水防法第4条)。
また、水防管理団体は「水防団」をおくことができる(水防法第5条)。
「消防団」なら
前回2見たところであるが、水防団というのは聞き慣れない言葉かもしれない。消防団は、消火活動や救助活動とともに、水防活動も行えることになっているので、その地域に消防団があれば、水防団は必要ない。しかし、水防管理団体が、その区域内にある消防機関が水防事務を十分に処理することができないと認める場合には、水防管理団体の義務として、水防団をおかなければならない、とされている(水防法第5~6条)。
さて、都道府県は、毎年水防計画を立て必要に応じて変更する義務があり(水防法第7条)、水防計画等の調査審議のための「都道府県水防協議会」をおくことができる(水防法第8条)。
実際の水防活動の種類には、以下のようなものがある。
水防団等は、河川・海岸堤防・津波防護施設等の巡視を行い、危険と認められるときは必要な措置を管理者に求める(水防法第9条)。
気象庁は洪水・津波または高潮の恐れがあるときは、国土交通大臣と都道府県知事に通知し、報道機関に協力を求めて周知させなければならない。
国・都道府県それぞれの役割として洪水予報や河川や高潮の水位の通報・公表を行うべきこととされている。(水防法第9~13条)。
例えば「洪水予報河川」(流域面積が大きい河川で、洪水により国民経済上重大な損害が生ずるおそれがあるものとして、国土交通大臣または都道府県知事が指定した河川(水防法第10~11条))については、洪水のおそれがあるときは水位または流量等を示して、河川の状況を水防管理者に通知する。有る程度大きな河川はほとんどこれに該当する。
また、「水位周知河川」(洪水予報河川以外で、洪水により国民経済上重大な損害が生ずるおそれがあるものとして、国土交通大臣または都道府県知事が指定した河川(水防法第13条))については、特別警戒水位を定め、河川の水位がこれに達したときは水防管理者に通知する。(これは洪水予報河川より少し規模が小さいイメージか。)
また、国や都道府県は、重大な損害を生ずるおそれのある河川について、事前に「洪水浸水想定区域」を定めて(水防法第14条)、迅速な避難経路の確保や浸水の防止、災害の軽減に役立てることになっている。これは最近改正されたので改めて次に述べる。
3――最近の改正(=進展)