(2) 価格の下げ止めルールと引き上げルール
価格調整には、過度な引き下げを止めるための価格下げ止めルールと、費用対効果が高い品目に対する価格引き上げルールが設定されている。
1) 価格下げ止めルール (価格の引き下げには、2種類の下げ止めルールが設けられている。)
1)-a. 有用性系加算による加算率が低いものほど、全体の価格を下げ止まりやすくする。加算率が25%以下の場合は、全体の価格の10%までの引き下げにとどめる。加算率が25%超100%未満の場合は、下げ止め率が加算率に直線的に上昇し、加算率100%で15%とする。そして、加算率が100%以上の場合でも、下げ止め率は15%までとする。
1)-b. 価格引き下げ後のICERが500万円未満となる場合には、ICERが500万円となる価格までに引き下げをとどめる。同様に、抗がん剤など配慮が必要とされた品目((1) 2)に該当する品目)については、ICERが750万円となる価格までに引き下げをとどめる。
2) 価格の引き上げルール (費用対効果が高い品目には、2種類の価格引き上げの調整を行う。)
2)-a. 比較対照品目に対し効果が増加し(又は同等であり)、費用が削減される品目(ICER の算出が不可能な品目の場合)については、一定条件
7のもとで、加算(営業利益を除く価格調整範囲)を50%引き上げる。ただし、引き上げ額は、調整前の価格全体の10%を上回らない額で、かつ、比較対照品目と比べた患者1人あたりの費用削減額の2分の1以下とする。
2)-b. ICERが200万円未満の品目については、一定条件
8のもとで、調整前の価格全体の5%及びICER が200 万円となる価格を上限として、加算(営業利益を除く価格調整範囲)を25%引き上げる。
7 一定条件とは、比較対照品目より効果が高い又は同等であることを臨床試験等により示す。かつ、比較対照品目とは全く異なる品目であるか、又は基本構造や作用原理が異なるなど一般的な改良の範囲を超えた品目であること、とされている。
8 一定条件とは、比較対照品目より効果が高いことを所定の条件を満たす臨床試験等により示す。かつ、比較対照品目とは全く異なる品目であるか、又は基本構造や作用原理が異なるなど一般的な改良の範囲を超えた品目であること、とされている。ここで、所定の条件とは、受理あるいは掲載時点において、Clarivate Analytics 社の"InCites Journal Citation Reports"により提供されているimpact factor(5 年平均)が15.0 を超える学術誌に原著論文として受理されている(ただし、レビュー雑誌、創刊10 年以内の雑誌は除く)。かつ、日本人を含むアジア人を対象とした集団において、費用対効果評価における比較対照品目よりも優れていることが統計学的に示されていること、とされている。