(季節調整モデルから祝日要因を抽出する)
経済データの変動要因は、(1)趨勢循環変動、(2)季節変動、(3)不規則変動、に分けて考えることが一般的である。
経済データの原系列Y
tとし、趨勢循環変動をTC
t、季節変動をS
t、不規則変動をI
tとすると、
変動成分の結合の仕方が乗法型の場合、
Y
t=TC
t×S
t×I
t
で表される
1。
このうち、季節変動について詳しくみると、天候や気温などの自然条件による変動、社会的制度・慣習(ゴールデンウィーク、クリスマス、盆暮れ、企業の決算期など)による変動のほか、曜日、祝日、うるう年要因を考える必要がある。たとえば、月に土日(平日)、祝日が何日あるかによって、企業の月間売上高や生産量は変動する可能性が高く、その影響の大きさは業種によっても違いがあるだろう。また、うるう年の2月は他の年よりも日数が多いため、その分売上が増える業種が多いことが想定される。
一般的に、景気の基調判断に用いられる季節調整値は、原系列から季節変動要因を除去したものであり、TC
t×I
tとなる。季節性によって売上高や生産量が多くなる月の季節指数(S
t)は1を上回り、季節調整値が原系列よりも小さくなる。季節調整値を用いれば、季節性を除いた同一条件で異なる月との比較が可能となる。
経済産業省の「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」、「全産業活動指数」
2の季節調整済指数は、季節変動要因を季節、曜日、祝日、うるう年要因に分解しており、
季節調整済指数=原指数÷総合季節指数(季節・曜日・祝日・うるう年指数)となる。
ただし、総合季節指数のうち、季節要因は全ての指数で調整されているが、曜日、祝日、うるう年要因については、業種によって調整されているものと調整されていないものがある。
経済産業省が公表している業種毎の季節調整スペックによれば、鉱工業生産指数は曜日、祝日調整が行われているが、うるう年調整は行われてない
3。第3次産業活動指数(直接調整法)
4は、曜日、祝日、うるう年調整がいずれも行われているが、その内訳をみると、情報通信業、物品賃貸業は曜日、うるう年、祝日調整がいずれも行われておらず、卸売業、事業者向け関連サービス、小売業は祝日調整が行われていない。建設業活動指数は曜日、うるう年、祝日調整がいずれも行われていない(図表1)。