中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
2018年12月6日
IFRS第17号:世界の保険会社は、問題を解決して基準を適切に実施するには1年の延期は十分でないと言う
国際会計基準審議会(IASB)の議長であるHans Hoogervorst氏に、世界の11の保険協会からなるグループが、保険契約を対象とした国際財務報告基準(IFRS)第17号の2年延期を要求した。このレターは、IASBが基準の発効日を1年延期することを提案するという決定に続いている。
IFRS第17号及び金融商品をカバーするIFRS第9号の発効日を遅らせる決定を認識した上で、レターは、IFRS第17号の問題を解決し、保険会社に基準を適切に実施するのに十分な時間を与えるのに2年の延期が必要であることを強調している。
IFRS第17号を使用する全ての管轄区域での実施が成功することは、投資家、アナリスト及び他の利用者が期待している高品質で有用な情報を提供する上で重要である。従って、IASBは、基準に対する潜在的な修正を検討するのに必要な時間をかけることが重要である。このレターでは、EFRAGのケーススタディテスト及び継続中の実施プロジェクトから得られた情報が、修正を検討する際に考慮すべき新しい情報を構成することも強調している。
レターでは、2年の延期が保険会社の実施プロジェクトを停止したり、遅らせることはないと述べている。むしろ、企業が運用上及び関連する場合には、規制上の影響に対処することを可能にするだけである、と付け加えている。
2018年11月15日
IAA会長は、IFRS第17号の保険契約の延期に関する声明を発出
11月14日、国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第17号保険契約の適用を1年延期するよう勧告した。
IAA理事長の吉村雅明氏は、次のように述べている。「保険業界を含むアクチュアリー及び全てのステークホルダーが、この延期期間を、基準の質の改善を検討し、それを強固な方法で実施するために、効果的に使用することが重要である。」
「IAAは、保険契約に関する技術的に健全な国際会計基準の開発と適用を常に支持し続けている。私たちは、IASBがIFRS第17号の修正をもたらす可能性のあるいくつかの問題を検討すると理解している。IAAは、IASBの検討事項及びIFRS第17号移行リソースグループの作業の成功に貢献することを楽しみにしている。」
IAAは、IFRS第17号の実施のための支援の一環として、メンバー協会が考慮するISAP(モデルアクチュアリー実務国際基準)を発行する予定であり、公共の利益に資するために、アクチュアリー(及び他の専門家)の教育ノートを発行することを計画している。このトピックに関するIAAの作業の詳細については、事務局までお問い合わせください。
4―12月13日のIASB会議の内容
研究領域:保険
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