2|11月14日のIASB会議
IASBは、2018年11月14日の審議会
4において、10月の審議会で提起された25項目の主な懸念及び実施上の課題のうちの20)と22)に対応する以下の2項目について、IFRS第17号「保険契約」の修正を調査することの意味合いについて議論した。
a. IFRS第17号の発効日
b. IFRS第4号「保険契約」におけるIFRS 第9号「金融商品」の適用からの一時的免除の期限満了日
IFRS第17号の修正を議論するかどうかを検討する計画を考え、そのような潜在的な修正を評価するための基準を考慮して、審議会は以下のように暫定決定した。
a. IFRS第17号の強制発効日(mandatory effective date)は1年延期されるべきであり、会社は2022年1月1日以降に開始する事業年度についてIFRS第17号を適用することが要求されることになる。
14名の全ての理事がこの決定に賛成した。
b. 従って、IFRS第9号の適用からのIFRS第4号の一時的免除の固定された期限満了日は、全ての会社が2022年1月1日以降に開始する年度についてIFRS第9号を適用することを要求されるように修正されるべきである。
14名の理事のうち13名がこの決定に賛成し、1名が反対した。
IASBは、IFRS第17号の修正を議論するかどうか検討する予定である。これらの修正に関する不確実性がIFRS第17号の適用の進展を混乱させる可能性があるとのスタッフの意見を踏襲し、 IFRS第17号により引き起こされる重要な変更は、延期を正当化する例外的な状況を構成することになる、とした。
さらに、IFRS第9号の一時的免除の固定された期限満了日の延期については、1年の延期が、既に適用を開始している会社の4年後(IFRS第9号の発行から8年後)までIFRS第9号を適用しないことを意味するため、より議論を呼ぶ問題であった、ただし、延期がなければ、短期間に2回の主要な会計上の変更があり、財務諸表作成者や利用者に大きなコストと労力をもたらすことになることから、審議会は、IFRS第9号とIFRS第17号の両方を同時に適用できるようにするため、免除期限を1年延期することを暫定決定した。
なお、世界の保険業界団体等からは強制発効日
5の2年の延期要請が
行われていたが、延期が長くなると、進行中の導入プロセスに伴うコストが増加するのに対して、対応するベネフィットがないとの意見や一部のステークホルダーが1年間の延期が有用であると判断していることもあり、1年間のみ延期することを暫定決定した。準備を不当に混乱させるべきではないというステークホルダーからのコメントに対応しつつ、IFRS第17号に関する審議会の議論から生じる不確実性を認識したものと整理されている。
より具体的には、審議会の資料によれば、発効日の延期に関するステークホルダーの意見及びそれらを踏まえてのスタッフの分析については、以下の通りとなっている。