中村 亮一()
研究領域:保険
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2―保険業界団体からの反応
Insurance Europe(保険ヨーロッパ) ICS2.0に対する意見
一般的なコメントセクション
保険ヨーロッパは、グローバルな保険資本基準Version 2.0の開発に関するインプットを提供する機会を歓迎する。
2019年末までにICS 2.0を完成させるという野心を踏まえて、ICSが根底にある保険ビジネスモデルを適切に反映し、直面しているリスクを特定して測定するために重要な作業が必要である。
ICS 2.0の目的はフレームワークをテストすることだが、ICSは、市場整合的な評価に基づいて一貫した統合アプローチを使用するリスクベースのフレームワークであることが重要である。テスト期間の結果が意味を持つように、適切に設計され、較正されていることが重要である。事実、機密報告段階におけるICSの設計が適切であればあるほど、ICSの実施可能なバージョンの採用が達成可能である可能性が高い。
近年ICSの設計には多くの改善がなされており、これらは欧州の産業界から非常に歓迎されている。 今後数ヶ月間、業界との継続的な対話と交流は、これらの改善が徹底的に議論され、意思決定に十分な情報が提供され、欠陥が最小限に抑えられるようにするうえで重要である。コンサルテーション・ペーパーに示されているICS 2.0のドラフトに対応して、保険ヨーロッパは以下の見解を強調したいと考えている。
評価に関して:
・負債の割引率が、保険ビジネスモデルの長期的性質及び保険会社が採用するALM手法を反映している場合にのみ、市場調整評価アプローチがサポートされる。長期負債を評価する場合、リスクフリー曲線の調整はMAVアプローチの前提条件である。
・リスクフリー利回りを導出するための提案された方法論は適切である。曲線の流動性部分はスワップ/国債に基づいており、非流動性部分は長期フォワードレート(LTFR)に補外することによって決定されるべきである。
・LTFRは毎年更新する必要はない。これは、安定した長期的なパラメータを意図している。毎年の更新はフレームワークに正しくない精度を導入することになる。
・IAISは、強制売却リスクに対処する潜在的な方法をさらに調査すべきである。強制資産売却のリスクに取り組むために、IAISの現在の提案(適用比率、適格基準、キャッシュフロー・マッチング等)のいくつかの特徴が含まれているが、このリスクに対処するより良いアプローチがあるかもしれない。
・評価のバケッティングの概念は、個々の負債特性がこれを正当化する場合に、IAIGsがポートフォリオ固有の調整を計算することを可能にするという利点を有する。
・「保険契約の長期的性質を反映し、資本リソースの潜在的な過度のボラティリティを軽減する」ための調整を開発するというIAISの目標を達成するリスクフリー曲線への調整を開発するために重要な改善が引き続き必要となる。
・自己資産/自己スプレッドアプローチはトップバケットの適切な提案である。しかし、適格基準のいくつかは緩和すべきである。特に、内部信用格付けを使用するオプションが存在し、資産適格性基準は、長期債務をカバーする長期資産のより広い範囲の使用を可能にすべきである。
・ミドルバケットの現在のデザインは、さらなる開発の出発点となるが、大幅な改善が必要である。
・調整は、長期の株式、不動産、インフラストラクチャー及びその他の非固定利付資産の慎重に健全なALMアプローチへの貢献を認識すべきである。
・適格基準はあまりにも煩雑であまりに狭く定義されている。
・参照ポートフォリオの使用に固有の高いベーシスリスクがある場合、IAISは一般バケットのみに適格な負債を最小化することを目指すべきである。提案されているベーシスリスク軽減メカニズムは、一般バケットアプローチに含めることが歓迎される。
・LTFRへの調整も含めるべきであり、これは、保険会社が非常に長い期間にわたって獲得することが期待できる投資収益率を反映したものであるべきである。
・IAISは、現在の経済情勢とストレスの多い市場環境の両方において、意図した通りに機能するように、提案されている評価手法についての広範なテストを実施すべきである。金融ストレスに対するテストは、IAISによって実施されるべきであり、会社に負担をかけるべきでない。