インド経済の見通し~金利上昇と輸出環境の悪化により、勢いを欠いた成長を予想 (2018年度+7.6%、2019年度+7.3%)

2018年12月05日

(斉藤 誠) アジア経済

■要旨

インド経済は7-9月期の成長率が+7.1%まで鈍化した。高額紙幣廃止や物品・サービス税(GST)導入に伴う経済の混乱からの反動増が景気を押し上げる効果が一服したことが主因だ。経済の先行きは、農村部の消費需要拡大を背景に消費主導の成長が続くものの、これまでの金利上昇や貿易環境の悪化の影響が表れて投資と輸出が鈍化し、来年度は7%台前半の勢いを欠いた成長ペースが続くと予想する。総選挙では、インド人民党の辛勝を予想するが、モディ政権2期目の経済政策では1期目ほどには経済改革への期待が高まるとは考えにくく、総選挙後の民間投資の加速は限定的なものとなると予想する。

■目次

・経済概況:景気の回復局面が一服
・経済見通し:2019年度は+7%台前半の勢いを欠いた成長へ
・(為替の動向)再びルピー安へ向かうが、来年度には下落圧力が弱まる
・(物価・金融政策の動向)物価は年明けから緩やかに上昇、金融政策は据え置きを予想

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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