120(北京救急センター)は、本部以外に、支部センター19ヶ所(市中心部10ヶ所、郊外9ヶ所)、191ヶ所の救急ステーション、救急車輌512台をかかえている
7。また、1日あたりの電話受付件数はおよそ4,000件、そのうち出動回数は900~1,000回にのぼっている
8。北京市は、今後、救急ステーションを288ヶ所まで増やし、住民3万人に救急車1台となるよう、利便性を更に高める予定だ
9。
緊急を要する重症者の利用が120に多いのは、もう一方の999(北京市赤十字会緊急・救援センター)は本部以外に、136ヶ所の救急ステーション、救急車輌の保有台数が300台ほどと、救急車輌数、センター数も相対的に少なく、到着までの時間や利便性の違いもあろう。
加えて、120は組織の傘下に病院を持っておらず、患者を一番近い救急救命受け入れの医療機関に搬送することになっている。一方、999は傘下に医療機関を持っている点からも、当医療機関への誘導や、それによる走行距離の増加からコストが膨らむといったケースも散見されるようである。なお、人民日報によると、2017年の120の1回の平均料金は180元(約3,000円)であった
10。
また、参考までに、2017年の東京都の救急車の出動状況をみると、搬送者総数は69万8,861名であった(東京都の人口は1,375万人)。ざっくりとではあるが、2017年は東京都ではおよそ20人に1人が利用したことになり、北京市では31人に1人が利用した計算になる。東京都と北京市では、高齢化の進捗度合い(高齢化率は東京都が23.3%、北京市が10.9%)、救急車の配備状況や有料かどうかなどの問題もあるため簡単には比較できないが、搬送者数自体については、ほぼ同じ規模になってきているであろう
11。
5 北京救急センターのウェブサイト
6 北京市赤十字会緊急・救援センターのウェブサイト
7 2017年3月31日付、人民日報「北京市院前医療急救服務条例実施一個月説好的担架員配上了嗎」
8 注7と同一
9 (出所)「北京市院前医療救急機構設置規画指導意見」
なお、120の救急車の保有台数(512台)を北京市の常住人口(2,171万人)で単純に除した場合、人口3万人あたりの救急車の台数の現状は0.7台である。
10 注7と同一、なお、救急車1回の出動にかかるコストは1,500元としている。
11 2017年の東京都の人口は1,375万人、救急車の保有台数は253台(東京消防庁のみ)。一方、北京市の常住人口は2,171万人、120・999 を合計した救急車の保有台数は810台超(120が512台、999が300台超を保有)。(出所)東京都ウェブサイト、全国消防長会ウェブサイト、北京 市2017年国民経済社会発展統計公報他
4-北京市において、救急救命のための搬送は、急病が6割、ケガ・中毒が2割