ここまで、今回のレポートでは、Brexitに向けての英国政府の対応のうち、Brexit後にソルベンシーIIを国内法に適用する場合に必要となる関連する法規制等の修正について規定したドラフト法律文書(ドラフトSI)の内容及びNo-deal Brexit の結果に備えてのコンティンジェンシー・プランに関するガイダンス(No-deal Brexitガイダンス)について、報告してきた。
1|イングランド銀行による新たな文書の公表
こうした動きの中で、10月25日には、イングランド銀行がBrexitに関して、いくつかの新たな文書を公表している。
その中で、例えば、「EU(離脱)法の下でのイングランド銀行の金融サービス法へのアプローチ- 2018年10月(Bank of England's approach to financial services legislation under the European Union (Withdrawal) Act - October 2018)」
16とするコミュニケーション・パッケージは、Brexitに起因する規則及び拘束技術基準の変更を規定している。また、暫定的認可や認識制度を含む、英国で事業展開しているEEA会社や英国以外のFMIに対する認可と認定のプロセスについてのさらなるガイダンスを示している。このパッケージは、Brexitに関連するもの以外の政策の変更を反映しておらず、Brexitを前提とした会社との以前のコミュニケーションに基づいている、としている。
このコミュニケーション・パッケージには、以下が含まれている。
1.PRAの最高行政官で健全性規制担当副長官のSam Woods氏から、PRAによって認可され規制されている全ての会社とパスポート権を通じてEUの残りの国々からの英国への国境を越えた活動を行うEEA会社に対するCEO宛のレター
17、イングランド銀行の金融安定性副総裁のJon Cunliffeによる、英国以外のCCPs)及び英国以外のCSD)に対してのBrexitの準備に関するアプローチの更新
2.移行措置の提案された使用を含む、規則及び拘束技術基準への変更に関するイングランド銀行の一般的なアプローチを述べたイングランド銀行/PRAの共同コンサルテーションペーパー。また、EUガイドラインと勧告に関連する会社とFMIの期待を示す監督声明(SS)も含まれている。
3.PRA規則と関連する拘束技術基準への主要な変更を述べたPRAのコンサルテーションペーパー。協議は、財務省がその政策意図を公表したか、関連する法律をドラフトで公表したか、議会に提出したEU法に関連する変更を対象としている。
4.金融市場インフラ(FMI)関連の結合技術基準やルールへの重要な変更を設定しているFMIコンサルテーションペーパー。協議には、既存の拘束力のない国内資料に関するFMIの期待に関するドラフト監督声明も含まれている。
5.破綻処理と関連して拘束技術基準への変更を示す破綻処理コンサルテーションペーパー。また、英国のEUからの離脱に起因する不備を考慮して、会社がどのようにして破綻処理に関するイングランド銀行の政策声明を解釈すべきかを提案している。
また、イングランド銀行のWebサイトを最新の情報に更新しており、これまでのEUとのコミュニケーションを単一のWebページで行うことができる、としている。これには以下が含まれている。
6.適格性、制度への加入と制度からの脱退、TPRの企業に適用されることが期待される規則を含む、暫定的許可制度(TPR)に関する企業の情報
7.暫定的認可制度(TRR)に関する英国以外のCCPに関する追加情報及び英国以外のCSDの移行プロセスを含む、英国外からFMIのプロセスに関する情報。イングランド銀行は、影響を受ける企業に対して、さらに多くの情報を提供している。