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人手不足に対する対策
最近、取り組まれている人手不足に対する対策に関して、「(1)トラックの運転自動化」、「(2)トラックドライバーの労働環境改善」「(3)物流施設の自動化・機械化」の3点について、確認する。
(1) トラックの運転自動化
トラックドライバー不足の解消には、実車率
6等の効率化で対応できる企業もあるが、その取り組みには限界があり、運転自動化が本格的に検討されている。
国土交通省および経済産業省は、「未来投資戦略2017年」に基づき、高速道路でのトラック隊列走行
7を早ければ2022年までに商業化することを目指している。商業化の実現に向けて、2018年1月に新東名高速道路浜松SAから遠州森町PA間でトラック隊列走行の実証実験が行われた。
民間企業においても、運転自動化の取組みが始まっている。ヤマト運輸とディー・エヌ・エーは共同で、自動運転配達「ロボネコヤマト」の実証実験を2017年4月に国家戦略特区である神奈川県藤沢市の一部エリアでスタートしている。無人のトラックが受け取りに便利な生活道路に横付けされ、注文客は車後部の保管ロッカーに行き、あらかじめメールで入手したQRコードをかざして、ロッカーから商品を取り出す仕組みである。
6 総走行距離に対して、実際に車両に荷物を積んで走行した距離の割合。
7 運転手が乗用する先頭トラックを無人の後続トラックが自動的に追走。
(2) トラックドライバーの労働環境改善
人手不足の解消策として、トラックドライバーの労働環境改善への取組みも進んでいる。これまで物流の現場では、慣行としてドライバーが荷物の積み下ろしや積み込みを行っており、労働時間の長期化を招いていた。また、物流施設に到着し入荷する際に、待機時間が長く発生していることも問題視されていた。本来、ドライバーに支払われる運賃は、運送の対価に限定するべきところ、これまでは積み下ろしや荷待ち等の運送以外の役務
8の対価の範囲が不明確になっているケースが多かったと言える。
図表-11は、厚生労働省「毎月勤労統計調査」(2016年計)に基づき、各業種の年間労働時間および年間所得額を示したものである。前述の労働慣習の影響もあり、トラックドライバーを含む「道路貨物輸送業」の年間労働時間は2496時間となり、全産業平均(2124時間)を大きく上回った。一方、「道路貨物輸送業」の年間所得額は425万円となり、全産業平均(490万円)を下回っている。
このような事態を受けて、国土交通省は、2017年11月に標準貨物自動車運送約款
9の改正を行った。約款の改定により、トラック運賃が運送の対価のみであることが明確化された。今後は、積込みや荷待ち時等を行った場合は対価が発生することになり、待遇および長時間労働の改善につながると期待されている。