2|雪害による保険金支払
保険の話をしたので、主に損害保険会社の雪による保険金支払がどのくらいあるかという点を見てみる。各損害保険会社では、雪による損害をカバーするためにも、いろいろな保険を提供している。
雪だけの保険などというものは一般にはない(全会社の全商品探せばあるかもしれないが。)ので、一般に雪害をカバーするのは、「火災保険」である。ここで積雪などによる住宅の損壊、家財の損壊に対して保険金を払ってくれる商品がある。また自動車保険でも、降り積もった雪の重みで自動車がつぶれた、車庫そのものがつぶれて自動車も壊れた、雪崩に巻き込まれた、など様々なケースに対応する商品が提供されている。
とはあくまで一般論であって、具体的に、どんな場合にどんな条件で、保険金がいくら払われるかということは、保険会社の提供する商品によって様々である。雪害が注目されている時期に、各自で一度確認してみることをお勧めしたい。ただし、人がケガをした場合や不幸にも亡くなった場合とかであれば、生命保険も含めて、雪かどうかはあまり関係なく保険金・給付金が支払われるのが一般的だと思われる。
さて、雪だけでなく、台風、大雨、あるいは地震などの自然災害による保険金支払については、損害保険会社は、他の事象とは分けて、統計をもっているところが多く、少なくとも自社の保険金支払額は、詳細に把握していると思われる。その一部を、損害保険協会がとりまとめたものを公表していて、「台風○○号による支払保険金額」とか、「××豪雨による支払保険金額」などが並ぶのだが、雪に関して言えば、「2014年2月関東を中心とした雪害」というのが、保険金額の大きさでは上位にきている。
2014年2月の大雪というのは、2月13日に発生した低気圧が発達しながら本州の南岸を北東に進み、西日本から北日本にかけての太平洋側を中心に広い範囲で雪が降った、というものである
2。特に14日夜から15日にかけて関東甲信地方や東北地方の一部では記録的な大雪となった。14日から19日までの最深積雪は山梨県甲府市で114㎝、埼玉県熊谷市で62㎝など観測史上1位を更新する地点も多かった。大雪警報は、秩父地方や埼玉県で発表された。被害は北海道から宮崎県までの広範囲にわたり、死者26名、負傷者701名、建物は全壊16棟半壊46棟一部破壊が585棟に及んだという。
また農作物の損傷、家畜の被害、ビニールハウス損壊などの農業への被害も甚大で、例えば埼玉県では金額にして229億円に達した
3。
一つの台風による損害保険会社合計の支払保険金額は、大規模なものであれば、短期間に1,000億円~5,000億円あるが、この時の雪害は、長期間にわたり、火災保険・自動車保険を主として約3,200億円(台風も含め歴代3番目に大きい金額)の保険金が支払われたことから、いかに被害の規模が大きかったか想像がつく。
2 ちなみに、ほぼ4年前で、ソチオリンピック開催中の出来事だったといえば、思い出す方も多いかもしれない。
3 内閣府「平成26年豪雪について-2月14日から16日の大雪等の被害状況等について(26報)-」(2014年3月6日)
2――国による防災などの体制