在宅医療が進められているのはなぜ?

2019年03月14日

(三原 岳) 医療

■要旨

在宅医療とは、医師などの専門職が患者の自宅や高齢者住宅、介護施設などを訪ね、終末期の緩和ケアなどを提供するサービスです。医療や介護が必要な状態になったとしても、できる限り住み慣れた地域で暮らせるよう、高齢化に対応する新たな類型として、政府が推進しています。

具体的な推進方策としては、医療サービスの対価として医療機関に支払われる診療報酬を2年に一度見直す際、在宅医療を実施する医療機関に対して、様々なボーナス(加算措置)を講じるなど、手厚く診療報酬を分配しています。

こうした背景には、国民のニーズ変化に対応する目的に加えて、病床削減の受け皿にしたいという狙いもあります。以下、在宅医療の内容のほか、政府が重視している背景などを見ていきます。

■目次

1――はじめに~在宅医療がなぜ進められているのか~
2――在宅医療の内容
  1|在宅医療とは何か
  2|介護サービスや医療機関間など幅広い関係者との連携が必要
3――在宅医療の現状
  1|在宅医療の患者数
  2|在宅医療を受けられる場所
4――在宅医療の背景
  1|国民のニーズに沿った選択肢の提供
  2|病床削減の受け皿という狙いも
5――おわりに

保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳(みはら たかし)

研究領域:

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴

プロフィール
【職歴】
 1995年4月~ 時事通信社
 2011年4月~ 東京財団研究員
 2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
 2023年7月から現職

【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会

【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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