「健康情報」の提供は、男女の特徴をいかしたアプローチを~「健康」への接し方は男女で違う

2017年12月18日

(村松 容子) 医療

3――誰にどういう情報を提供するか

以上のとおり、健康に対する考え方は、男女で異なる。女性は、若いころから普段の生活の中で生活習慣や健康状態について考える人が多く、女性の20代は男性の40代より考えている割合が高かった。

女性は美容面や妊娠・出産を意識するなど、健康について考えたり、話題にしたりする機会が多いことが推測できるほか、男性と比べると、健康面では今後、「現在より増強したい」「現在の状態を維持したい」と考える割合が高いことで、健康に対する関心が高いようだ。また、「目指したい健康はどんな状態?~アンケートによる「健康」の要素」3で紹介したとおり、女性は男性と比べて、「健康」の意味を「病気でないこと」だけに留まらず、多岐にわたる視点で捉える傾向があることもあわせて考えると、「健康」に対する期待が大きい可能性もある。

一方、男性は、女性と比べると普段から生活習慣や健康状態のことを考えたり、話題にしたりすることは少ないようだ。健康について考えるきっかっけとして「指摘を受けて」が多いこと、情報収集をしている人の情報源として「医師や看護師など医療従事者の話」が女性より高いことから考えると、男性は、女性ほどは普段から健康状態等について考えていないため、たとえば健康診断で要受診・要注意などの注意を受けて、初めて健康状態について考える傾向があるのかもしれない。

現在、データヘルスや健康経営などが重視され、企業には自社の従業員に対して、健康指導や情報提供を行うことが、これまで以上に求められている。高血糖、高血圧等による生活習慣病は、若いころから生活習慣を気づかうことが重要とされるが、実際は、若いころは自分自身の健康について関心を持っていないことも多く、情報提供をしても伝わらないことがあると聞く。今回の結果でみると、20~30代の男性では他層と比べて関心が低いため、たとえばその妻に向けて情報提供を行うことや、男性は年齢が高いと「医師や看護師など医療従事者の話」の話を情報源とするため、健康診断の際に検査結果だけでなく、生活習慣の見直しについても医療従事者から助言する等も考えられるのではないだろうか。男女の特徴を捉えたきめ細やかな健康指導や情報提供を行うことが重要だろう。
 
3 村松容子「『目指したい健康』はどんな状態?~アンケートによる『健康』の要素」ニッセイ基礎研究所、基礎研レター(2016年1月28日)
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