46 二重エネルギーX線吸収測定法(2種類の異なるエネルギーのX線を照射し、吸収率の差により骨密度を測定する方法)を用いることが一般的。腰椎と大腿骨近位部の測定が行われ、算出された骨密度値を性別ごとの若年成人(20~44歳)の骨密度平均値と比較して、評価される。
(2)骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症の予防には、思春期から性成熟期にかけての、最大骨量の獲得が重要とされる
47。この時期に、過度なダイエットを避け、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを摂取することが求められる。
高齢期には、骨強度の維持、転倒予防のため、歩行運動が必要となる。加齢に伴い、身体の移動機能が低下することを、ロコモと呼ぶ。ロコモの予防・改善のための運動が、転倒による骨折の予防にもつながるとされている(後述)。
また、骨粗鬆症の予防として、禁煙と、飲酒量の抑制(1日あたり、ビール500ミリリットル程度もしくは日本酒1合(約180ミリリットル)程度)が勧奨されている。
47 男性にも、骨粗鬆症の患者は存在する。しかし、男性の場合、一般に、成長期の最大骨量は女性に比べて多く、女性の閉経時のような急激なホルモン変化の影響もない。このため、男性の骨粗鬆症の患者は少ないとされている。
(3)骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の治療は、薬物療法をベースとして、大腿骨近位部や椎体の骨折を予防することが中心となる。治療の開始は、診断手順で原発性骨粗鬆症と判定される人のほか、骨量減少で大腿骨近位部骨折の家族歴をもつ人、骨量減少で世界保健機関(WHO)が開発した骨折のリスクを評価する方法
48において10年間の骨折確率が15%以上と判定された人が、対象となる。
薬剤は、腸管からのカルシウムの吸収を促進させる薬(活性型ビタミンD
3製剤)、骨形成を促進する薬(テリパラチド)、骨吸収を抑制する薬(ビスホスホネート製剤
49など)の3つに大別される。患者の病態に合わせて、使用する薬剤が選択されることとなる。
薬物療法とともに、運動や食事など、骨強度を維持して、転倒などを回避する生活習慣を身に付けることも、重要とされる。
48 FRAX®(Fracture Risk Assessment tool)と呼ばれるもの。年齢、性別、身長、体重、骨折歴、両親の大腿骨近位部骨折歴、現在の喫煙、アルコール摂取、糖質コルチコイド、関節リウマチ、続発性骨粗鬆症、大腿骨頸部骨密度を回答すると、今後10年間の骨折危険率が計算される。インターネット上で、計算ソフトが販売されている。(http://www.frax-tool.org/)
49 発症はまれだが、薬の副作用により顎の骨が壊死する患者が増えているとされている。虫歯、歯周病、抜歯、インプラントなどの傷口が、要因になりやすいと言われている。ビスホスホネート製剤などの服用前や、服用中に、歯科や口腔外科で受診することが重要とされている。(「骨粗しょう症薬使用で留意 副作用で顎の骨壊死」(日本経済新聞2017年7月3日, 朝刊17面)等より)