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新聞記事や体験談は、それ自体は医療広告とならない
新聞や雑誌の記事、学術論文・学術発表、患者や家族の体験談・手記は、誘因性を有しないとして、それ自体は医療広告ではない、とされている。ただし、費用を負担して記事の掲載を依頼することにより、医療機関が患者等を誘引する便宜を図る記事風広告。学術論文を装いつつ、不特定多数の人に向けて送付するダイレクトメール。医療機関からの依頼に基づく、患者や家族の手記、などの場合には、誘因性を有するとして、医療広告となる。
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院内掲示や患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットは、医療広告ではない
院内掲示、院内で配布するパンフレット、患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットや電子メールは、情報の受け手が限定されるため、認知性を有しないとして、医療広告ではないとされている。ただし、希望していない人に対してダイレクトメールで郵送されるパンフレットは、認知性の要件を満たし、医療広告となる。
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診療科名については、ルールが定められている
診療科名は、患者が医療広告に求める情報のうち、中核的なものと言える。2008年3月までは、使用可能な名称が、法令上で限定列挙されていた。現在は、ルールに基づいて、柔軟な取扱いができるようになっている。例えば、「内科」、「外科」、「精神科」「アレルギー科」といった診療科名を単独で用いる。それらに、身体や臓器の名称を組み合わせる(例.「心臓内科」)。患者の年齢・性別等の特性を組み合わせる(例.「小児外科」)。診療方法の名称を組み合わせる(例.「内視鏡内科」)。患者の症状・疾患の名称を組み合わせる(例.「腫瘍外科」)ことが可能とされている。なお、「整形内科」や「心療外科」のように、医学的知見・通念に照らし、不適切となる組み合わせの診療科名は禁止されている。
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手術件数や入院患者数の広告は可能だが、死亡率や術後生存率の広告は禁止されている
医療の結果に関する広告についても、規制されている。実施した手術件数や分娩件数、在宅患者数、外来患者数、入院患者数、平均的な入院日数については、医療広告として表示することが可能とされている。表示する際は、その数値に係る期間を暦月単位で併記する必要がある。一方、死亡率、術後生存率、治癒率については、対象となった患者の状態等の影響が大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされる段階ではないとして、広告禁止とされている。
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医療広告では禁止されている表現がある
次のような表現は、比較広告、誇大広告、客観的事実を証明できない広告、公序良俗に反する広告に該当するなどとして、禁止されている。
・術前術後の写真掲載
・「絶対安全」「100%の満足度」などの表現
・「当院は県内一の医師数を誇ります」「ナンバーワンクリニック」などの表現
・「著名人が推薦」といった表現
・費用の安さを過度に強調
・「こんな症状が出ていたら命にかかわりますので今すぐ受診してください」とリスクを過度に強調
・「この手術は効果が高くおすすめです」などと特定の治療の有効性を強調
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自由診療の医療広告は基本的に禁止されているが、保険診療等と同一の検査、手術については可能
美容等の目的の場合、保険が適用されず、診療が自由診療として行われることがある。現在、こうした自由診療の医療広告は、基本的に禁止されている。ただし、自由診療のうち、保険診療や、選定療養、評価療養と同一の検査、手術その他治療の方法については、医療広告が可能となっている。なお、その場合には、公的医療保険が適用されない旨と、標準的な費用を併記しなくてはならない。
5――2017年の医療法改正