中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
関連カテゴリ
・ユーザー・アクセシビリティという観点からは、金融や保険の概念に対する十分な知識を有していない平均的な保険契約者がSFCRを理解できるものにするという点で、一般的に損害保険会社の方が生命保険会社よりも優れていた。フローチャートを使用して、リスク管理制度やORSAプロセスの説明を行うことで、一目で重要なポイントが把握できるようにしていた。
・大手の会社や上場会社は、既に財務諸表における開示等を通じて、多くの情報を提供しているので、より詳細なレベルの情報をSFCRに含めていた。
・セクション間の比較では、「B.ガバナンス制度」が最も分量が多く、「A.ビジネスとパフォーマンス」と「E.資本管理」の分量が少なかった。
・「A.ビジネスとパフォーマンス」は、本質的に事実に基づいているものである。大多数の会社が引受け結果を提示していたが、引受け結果の標準的な尺度の欠如が、会社間の引受け結果の比較を困難にしている。
・「B.ガバナンス制度」は、(アイルランドの保険監督当局である)CBIが、重要な開示要件であるとの明確なメッセージを送っていた。今回の情報は、会社固有のガバナンス体制についての真の洞察がなく、最低限の事実レベルであった。全体的な感触は、非常に「定型文句(boilerplate)」であった。ガバナンス制度は、企業が市場慣行に対応して強化する必要のある分野であると期待している。
・「C.リスクプロファイル」については、殆どの会社は標準式のストレスの影響を提供していたが、さらなる感応度/シナリオ、ストレスおよびリバースストレステストの詳細を提供している会社はほんのわずかだった。
・「D.ソルベンシー目的のための評価」については、会社によって大きく異なっている。多数の会社が技術的準備金を算出する上で使用される基礎、手法及び主要な前提を説明していなかった。そのため、ユーザーが技術的準備金がどのように計算されているのかを理解するのが難しく、会社間の比較も限定される。
・「E.資本管理」については、最低限の要件を満たした企業は殆どなかった。殆どの会社がソルベンシー/最低資本要件のハイレベル(大まか)な情報を提供するのみだった。これらの数値に関する議論は殆ど提供されておらず、殆どの会社が資本管理は内部及び外部のSCRカバレッジ比率の目標を満たし続けることを目指していると述べていた。このセクションが、例えば、企業やブランドの強みを強化するために、高いカバレッジ比率を使用するなど、対話を拡大するために、会社が将来的に努力を集中することを選択する可能性のある分野になることを期待している。
5―まとめ