マレーシア:11年連続で海外ロングステイ希望者の人気度トップ-その観光立国戦略からの示唆-

2017年05月30日

(平賀 富一)

■要旨

一般財団法人ロングステイ財団による、日本人による海外でのロングステイ(長期滞在)の希望国・地域の直近の年次調査のトップ10ランキング(「ロングステイ希望国・地域2016」)によれば、マレーシアが2006年以来11年連続で首位となっている。先進諸国や地理的に近いアジア諸国・地域という競合もある中、何故、マレーシアが11年の長期にわたり首位のポジションにあるのかについては興味があるところであろう。その理由として、(1)長期滞在査証「マレーシア・マイ・セカンドホーム・プログラム(MM2H)」制度の充実、(2)気候、(3)治安、(4)医療水準に加え、(5)ロングステイ希望国トップとしてのイメージの定着などが挙げられるが、特に、ロングステイに関しては、生活費(物価)の水準、気候の安定と自然災害の少なさ、治安・衛生面、シンプルな英語でのコミュニケーションが可能といった総合的な評価が大きいと思われる。

マレーシアにおける観光業は、早くから国の発展に必要な重要産業としての位置づけを与えられ、成長産業・重点分野として推進体制の整備と施策の実行が進められてきたおり、いわゆる「MICE」と共に、ロングステイ客の受け入れも重要項目として位置付けられている。マレーシアの長期の戦略的な取り組みには、観光立国化を推進する我が国にとっての示唆があると考えられる。

■目次

1――日本人の海外ロングステイ希望国・地域の人気度
2――ロングステイの人気滞在先としてのマレーシアの魅力や要因
3――観光立国としての戦略的な取り組み
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