以上のように中国の株式市場は、海外投資家の存在感が極めて薄いドメスティックな市場だが、そこに一石を投じそうなのがMSCI社(Morgan Stanley Capital International)の動向である。同社は例年6月に新興国株指数の組み入れ銘柄を見直すが、今年もその時期が近づいてきた。注目されるのは中国のA株(中国本土に上場する人民元建て株式)を新興国株指数に組み入れるか否かである。昨年は、QFIIの使い勝手の悪さ、不透明な売買停止、新金融商品組成時の事前審査の3点が障害となって、新興国株指数への組み入れは見送られた。今年3月発表されたMSCI社の提案は、組み入れ対象(Universe)を大型株に限定し香港との重複上場銘柄を除外するなど海外投資家にとっての投資しやすさ(Investability)を重視した内容となっている。その結果、組み入れ銘柄数は昨年の448銘柄から169銘柄に絞られており、MSCI新興国株指数に占める比率も昨年の1.0%から0.5%へ引き下げられている。同社はこれをたたき台に投資家の意見を聞いた上で結論を出すことになると見られる。MSCI社が6月にどんな決定をするのか、グローバル株式投資家への影響が大きいだけに注目される。