中村 亮一()
研究領域:保険
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2―カバード・アグリーメントとは
3―今回のカバード・アグリーメントの締結に関する共同声明及びその概要
米国とEUの保険及び再保険措置に関する2国間合意に対する交渉に関する共同声明
2017年1月13日
ワシントン
米国とEUの代表者は、継続的な保険の消費者保護を確実にし、米国とEU両国で営業している保険会社と再保険会社の規制の確実性を高める合意に向けた交渉の成功を発表することを喜ばしく思う。これらの交渉は、米国のドッド・フランク法の意味での「カバード・アグリーメント」であり、EUの欧州連合機能に関する条約第218条に基づく合意という書面による合意をもたらした。
本合意は、健全性保険監督の3つの分野、すなわち(1)再保険、(2)グループの監督、(3)監督者間の保険情報の交換、をカバーしている。
再保険に関しては、消費者保護が強化され、EU及び米国の市場で事業を展開するEU及び米国の再保険会社に対する担保及び現地のプレゼンス要件の廃止につながる。
この合意のおかげで、他の市場で活動している米国とEUの保険会社は、自国の管轄地域の監督者による世界的な健全性保険グループの監督のみの対象となる。米国にとって、これにより、米国の保険グループの監督に関する米国の監督当局の優位性が保持される。EUにとって、これにより、EUの保険グループの監督に関するEUの優位性が保持される。自国の管轄地域の外の世界的なグループ監督の行使の制限には、ソルベンシーと資本、報告、ガバナンスに関する事項の制限が含まれる。それにもかかわらず、監督者は、その監督領域における保険契約者の利益や金融の安定性を損なう可能性のある世界的な活動についての情報を要求し入手する資格を保持している。
また、米国とEUの保険監督当局は、米国及びEU市場で活動する保険会社及び再保険会社に関する監督情報を引き続き交換することを奨励している。このような情報交換を支援するため、本合意には、モデル覚書の規定が含まれている。
この合意の最終的な法的文書 2は、ドッド・フランク法に従って、2017年1月13日に米国議会に提出された。 EUは、本合意に署名し正式に締結するために、欧州理事会と欧州議会の関与及び欧州連合の機能に関する条約に関連する必要な措置に従う。米国とEUの交渉者は、合意が米国とEUの相互利益において調和しており、米国とEUの保険消費者、両市場で活動する米国とEUの保険会社と再保険会社にとって有意義な利益をもたらすと確信している。