EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(2)-EIOPAの報告書の概要報告-

2017年01月11日

(中村 亮一) 保険計理

(2)SCR比率への影響
TTPを適用しなかった場合のSCR比率については、次の図表の通りである。

EEAでは183%から115%に68%ポイント低下する。

国別では、ドイツでは340%から118%に223%ポイント低下し、フランスでは277%から135%に142%ポイント低下する。これら2つの主要国における影響の大きさが明らかになっている。
 
(3)技術的準備金への影響
TTPを適用しなかった場合、適用会社の技術的準備金は、次ページの図表の通りである。

EEA全体では、適用会社の技術的準備金は5.0%増加する。

国別では、ドイツの適用会社が13.2%と最も大きな影響を受け、フランスが8.6%、ポルトガルが7.9%、スペインが7.6%と続いている。
 
2|TRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)

(1)適用会社
TRFRは4カ国(アイルランド、ギリシャ、ドイツ、フランス)からの5社4が適用している。

ギリシャからの1社が生損保兼営である以外は、他の4社は生命保険会社である。
これらの会社のEEA全体における技術的準備金の市場シェアは無視できるレベルであり、ギリシャの2社の国内市場におけるシェアも約10%にとどまっている。

なお、5社は、TRFRと同時にVAも適用している。

(2)SCR比率への影響
TRFRの非適用により、適用会社のSCR比率は154%から102%に52%ポイント低下する。

(3)技術的準備金への影響
TRFRの適用により、適用会社の技術的準備金は9%減少している。

3|TTPTRFRの移行措置を適用しなかった場合の必要資本額

TTPやTRFRの移行措置を適用しなかった場合、4カ国からの35社がSCR要件を遵守しなくなる。

これらの会社がSCR要件を遵守するために必要な適格自己資本は、52.6億ユーロとなる。

国別では、ドイツが16社で34.6億ユーロという最も大きな金額が必要となり、ポルトガルが12社、13.9億ユーロで続いている。
 
 
4 プレス・リリースやエグゼクティブ・サマリーでは6社となっている。
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