マレーシアでは外国人労働者が多く、国内労働人口における外国人比率は高い3。しかし、その多くはインドネシアなどの周辺国から出稼ぎに来た低賃金労働者である。そのため、高級物件の需要に関しては高所得の在留外国人に限ったデータを見る必要がある。そのようなデータは乏しいものの、一定以上の経済力がある外国人の受け入れ制度であるMM2H(Malaysia My Second Home4)がひとつの参考になる。しかし、当制度による在留外国人の増加ペースは、加速どころか2014年以降減速している(図表-4)。マレーシア全体で年間2,000人程度しか増えておらず、ジョホールバルの賃貸住宅需要を支える規模には全く届いていない。
1 マレーシアNational Property Information Centreによる。 2 2,000RM(マレーシアリンギット)=5万円強(2016/12/26時点、1RM=約26.2JPY)。 3 The Labour Force Survey Report, Malaysia, 2012によると外国人労働者の比率は13.5%で約170万人。ただし、それ以上の人数の非合法の外国人労働者がいるともいわれている。 4 最長10年の長期滞在ビザ(更新も可能)。主な条件は50万(50歳以上は35万)RM以上の財産証明と月額1万RM以上の収入証明、かつ30万(50歳以上は15万)RMをマレーシアの金融機関に定期預金する。50歳以上は定期預金に替えて毎月1万RM以上の年金受領証明でも可。今後、ビザ取得条件は厳格化する方向とみられる。 5 ジョホール州の在留邦人数は2014年10月時点で1,148人。2015年にジョホールバル出張駐在官事務所が閉鎖となり、以後の数値は非公表。