ソルベンシーII制度のベースとなるソルベンシー比率の水準を表すSCR比率(=自己資本/SCR(Solvency Capital Requirement:ソルベンシー資本要件))の算出において、分母の必要資本を表すSCRについては、標準的な算式が定められている。標準式では、SCRはモジュラー・アプローチと呼ばれる構造に基づいて算出され、保険引受けリスク、市場リスク等の各種のリスク・モジュールでの算出を行った後、各種リスク間の分散効果等を反映させる形で算出されていく。一方で、分子の自己資本の算出に大きな影響を有する技術的準備金の算出においては、LTGM(Long-term Guarantees Measure:長期保証措置)1等の措置が認められる形となっている。
なお、これに先立って、欧州委員会は、2015年9月30日に、EUにおける金融サービスの監督枠組みに関する「Call for Evidence」3を開始し、全ての利害関係者から、現行の監督枠組みの統一性に関するベネフィット、意図せざる影響、一貫性、不均衡についての意見を求めている。これに対して、2016年1月31日の締切りまでに、保険セクターからは50の回答が行われている。
今回のレターについては、この「Call for Evidence」で示された意見等を反映する形で作成されている。EIOPAからの回答は2017年10月31日が期限となっているが、必要に応じて、段階的な提出や最終助言以前の部分的な助言の提出も行われることになっている。いずれにしても、これにより、2018年の標準式のレビューに向けてのソルベンシーII改革がスタートした形になった。