夫婦控除の創設について~家計の可処分所得への影響~

2016年11月08日

(白波瀨 康雄)

■要旨

既婚女性が就業調整を行う原因として指摘される配偶者控除の見直しは、政府が進める女性の活躍促進や働き方改革の一環として注目を集めてきた。政府税制調査会(以下、政府税調)は、2017年度税制改革に向けて、配偶者控除の廃止と夫婦控除の創設の検討を進めてきたが、足元の報道によると、この案は次年度以降へ先送りとなり、代わりに配偶者控除の適用範囲拡大案が浮上している。

一旦見送りとなった配偶者控除の廃止については、政府税調が2014年11月に提示した配偶者控除見直しに関する3つの大きな方向性 を中心に、次年度以降、議論が再開するものと思われる。

本稿では、配偶者控除に関する問題点を取り上げ、方向性Cに掲げられた新たな夫婦控除の創設に伴う家計の可処分所得に与える影響を展望したい。

■目次

はじめに
1―配偶者控除・夫婦控除の概要
2―配偶者控除に関する問題点
  i)就労調整に係る様々な年収の壁 ~「103万円の壁」と「130万円の壁」~
   ii)低所得者の低適用率
  iii)「二重の控除」
3―夫婦控除創設による世帯の可処分所得への影響
  i)試算の前提
   ii)年収200~400万円世帯で配偶者控除廃止に伴う負担増が生じない夫婦控除の水準
  iii)配偶者控除廃止と夫婦控除創設による可処分所得への影響に関する試算
4―まとめ
レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)