オフィス賃料は反発も、インバウンド需要のピークアウトが商業施設、ホテルに影響~不動産クォータリー・レビュー2016年第3四半期~

2016年11月08日

(増宮 守)

2.地価動向

地価動向は、年次ベースでは回復が続いているものの、直近は首都圏住宅地の地価上昇が収束しつつある。

国土交通省が発表した7月1日時点の基準地価では、全国商業地の地価変動率が年間±0%となり、2007年以降初めて地価下落トレンドを脱した(図表-8)。商業地の地価は、3大都市圏で+2.9%の上昇と前年の+2.3%から加速し、▲1.1%となった地方圏についても、前年の▲1.6%から下落ペースが緩和した。

一方、住宅地と工業地については、3大都市圏ではそれぞれ+0.4%、+1.5%と3年連続の上昇となったものの、地方圏の▲1.2%、▲1.1%を相殺するには及ばず、全国でみると引き続き▲0.4%、▲0.6%の下落となった。そのため、総じて全国全用途でみると、依然として年間▲0.6%の地価下落であった。
野村不動産アーバンネットによる四半期の地価動向をみると、首都圏住宅地の地価は7-9月期(2016/10/1時点)に前期比+0.2%のほぼ横ばいであった(図表-9)。地区別では、都区部(+0.5%)で上昇が続いたものの、埼玉県(+0.1%)、神奈川県(±0.0%)、千葉県(±0.0%)は横ばい、東京都下(▲0.1%)がマイナスとなるなど、地価上昇は収束しつつある。

一方、東京都心商業地については、地価上昇が継続しており、特に銀座では2007年10月の水準にまで回復している(図表-10)。他方、大阪では依然としてリーマンショック以前の水準に遠く及んでいない(図表-11)。
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