中村 亮一()
研究領域:保険
研究・専門分野
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2―FSAPの「ストレステスト-テクニカルノート」
EXECUTIVE SUMMARY(エグゼクティブサマリー)
ドイツの保険会社は、低金利環境からの課題に直面している。一般的には経済を刺激する可能性にもかかわらず、超低金利は、生命保険会社にとって深刻な問題となっている。それは即時の金融の安定性の問題ではないけれども、長期化する低金利期間は、保険会社のビジネスモデルや特定の保険契約で保証されているリターンを生成する能力に、重くのしかかってきている。自己資本比率は、近年減少傾向にあった。 2016年1月1日以降に発効した保険規制のためのEU(欧州連合)の枠組みであるソルベンシーIIが、フォワードルッキングな評価において、ソルベンシーへの低金利の影響を認識するために、生命保険会社に追加の圧力を形成した。これら全ての要素が、いくつかの保険会社を、よりリスクの高い投資を求める利回りサーチに向かわせる要因となっている。
保険会社の資本水準は経過措置で十分に見えるが、生命保険会社の大半は、経過措置に頼ることなく、ソルベンシーIIの要件を満たすことが難しい状況にある。EU法に基づく経過措置を斟酌すれば、殆どの生命保険会社は、100%を上回るソルベンシーII資本要件(SCR)比率を維持するであろう。ただし、経過措置無しでは、それらの大部分は、実質的な資本不足を経験し、SCRを満たしていないだろう。
ビジネスモデルは、保険会社の相対的な耐性力の重要な決定要因である。テストは、法的なエンティティレベルで行われた。個別のより大きい保険会社は一般的に他の会社よりも耐性力がある。小さい保険会社もまた比較的高い損失吸収能力を示している。多くの小規模会社は、収益性が低金利環境の影響をあまり受けず、したがって、非常に高いSCRカバレッジ比率を有している保障型事業に焦点を当ててきている。いくつかの中規模の保険会社は、低金利環境と追加の市場のショックに対してより脆弱である。さらなる分析は、他の特徴、ビジネスミックス、未実現利益の額、将来の裁量的な保険契約者配当、平均保証利率のような他の特徴が、バランスシートの規模よりもより重要なドライバーであるように見えることを示している。
金融システムと市場構造(抄訳)
C.保険部門
23.ドイツの生命保険会社は、保守的に投資している。
24.それにもかかわらず、利回り追求の証拠がある。
25.保証付商品はまだ生命保険市場を支配している。
26.保証商品は、生命保険会社をリスクに露出させる。
27.保証商品の支配により、長期の低金利は、生命保険会社の財務の健全性に影響を与えている。
28.健康、損害、および再保険会社は、より堅牢であるようにみえる。
29.生命保険会社は、新契約や保険契約者の利益配分の両方の保証レートを低減することにより、低い投資収益に対処するための取り組みを行っている。
30.2014年に、当局は、生命保険改革法における措置を通じて生命保険会社への圧力の一部を削減しようとした。
31.これらの改革は、保険リスクに起因する契約者配当の最小割当を75%から90%に増やすための措置によって補完された。
32.特に、大会社は、低金利の課題に対処するための新商品を導入しているが、数年間では有意な影響は何も感じられないだろう。
33. BaFinは413の保険会社を監督している。
研究領域:保険
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