1|減少する労働力人口と就業者数
総務省「労働力調査」の長期時系列データによると、労働力人口
1は1998年の6,793万人をピークに低下、2014年には6,587万人と200万人以上減少している。一方、高齢化が進展して65歳以上の老年人口が増加する中、非労働力人口
2が増加傾向にあり、2000年以降は4,000万人を超えて、2014年は4,489万人に上っている。
労働力人口比率
3は2014年は59.4%になり、2009年以降は6割を下回り、非労働力人口比率は4割を超えた状態が続いている。つまり15歳以上の人のうち5人に2人は、通学者や家事従事者、高齢者などの非労働力なのである。近年では、それ以外にもメンタルヘルスの問題や社会的孤立から無業者となる人も増えており、社会的孤立無業者(SNEP)と言われる人は162万人に上ると推計されている。
また、就業者数
4>は1997年の6,557万人をピークに減少傾向で、2014年は6,351万人と200万人余り減少している。就業率は1999年以降、6割を下回っており、2014年は57.3%になっている。今後、少子化により人口減少が続き、子育て期の女性や高齢者の労働参加が進まなければ、労働力人口比率や就業率はますます低下するだろう。
一方、完全失業者数
5は2002年に359万人、完全失業率は5.4%に達したが、以降は減少・増加を繰り返し、2014年は236万人、完全失業率も3.6%に低下した。しかし、産業構造や経済状況の変化から生じる人材のミスマッチが拡大すれば、完全失業者数の増加および完全失業率の上昇が再び起こる可能性もある。
1 「労働力人口」は15歳以上の人口のうち、「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの
2 「非労働力人口」は15歳以上の人口のうち、「就業者」と「完全失業者」以外の者で、通学者、家事従事者、高齢者など
3 「労働力人口比率」は15歳以上の人口に占める「労働力人口」の割合
4 「就業者」は「従業者」と「休業者」を合わせたもので、「就業率」は15歳以上の人口に占める「就業者」の割合
5 「完全失業者」は次の3つの条件を満たす者((1)仕事がなくて調査期間中に少しも仕事をしなかった、(2)仕事があればすぐ就くことができる、(3)調査期間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた)