ユーロ圏の統合深化を阻む移民流入危機、ギリシャ問題-2025年までユーロ制度完成を目指す工程表は示されたものの・・・

2015年08月31日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

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■要旨

欧州安定メカニズム(ESM)の構築や銀行同盟の始動など、ユーロ圏の制度を修復する作業が進展したことは、ギリシャ問題の感染力低下に一定の役割を果たした。

6月に公表されたユーロ圏の制度強化の新たな報告書では2つの段階を経て、遅くとも2025年までに経済通貨同盟(EMU)を完成させる工程表が示された。完成と言っても、「通貨は1つ 財政はばらばら」の解消を目指す訳ではない。本来期待されるよりも控えめな統合の深化の議論でも当面は深まりそうにない。EUが中東・アフリカからの移民流入危機への対応を迫られていること、ギリシャ支援の負担が増大していること、17年にかけて債務危機国、主要国で民意を問う局面が続くことが障害となろう。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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