経済研究部 主任研究員
窪谷 浩(くぼたに ひろし)
研究領域:経済
研究・専門分野
米国経済
関連カテゴリ
【要旨】
1.結果の概要:住宅着工は前月比で減少、一方、先行指標である許可件数は増加
6月16日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済)は、103.6万件(前月:116.4万件)となり、市場予想の109万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を下回った。
住宅着工件数の伸びは、前月比で▲11.1%(前月:+22.1%)と、前月から大幅に鈍化し2桁のマイナスとなった。一方、前年同月比では、+5.1%(前月:+12.1%)と、こちらは2ヵ月連続でプラスとなった。
住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済)は、127.5万件(前月:114.0万件)と07年8月(132.1万件)以来の高水準となったほか、市場予想の110.0万件を大幅に上回った。
住宅着工許可件数の伸びは、前月比で+11.8%(前月:+9.8%)、前年同月比では+25.4%(前月:+6.1%)と前月比、前年同月比ともに2桁の増加となった(詳細はPDFを参照)。
2.結果の評価:新築住宅市場の回復基調は持続
5月の住宅着工件数は、前月比で2桁のマイナスになったほか、地域別でみても全ての地域でマイナスに転じるなど、前月から大幅に悪化した。しかし、4月は前月比で20%を超える大幅な増加となっていたことを考えると、5月はその反動減と考えられる。実際、3ヵ月移動平均でみると4月以降は2ヵ月連続で増加しており、回復基調は持続している。
さらに、住宅着工許可件数は、およそ8年ぶりの高水準となったほか、前月比で2桁の増加となるなど、好調に増加している。このため、住宅着工件数は今後も増加基調の持続が予想される。
米国では労働市場の回復が持続しており、先行きの雇用不安は解消されてきている。また、住宅ローン金利も過去に比べて低水準に留まっていることから、住宅購入しやすい環境となっている。実際、消費者信頼感指数などの消費マインドを示す指標が08年の金融危機以前の水準を回復するなど、高い水準となっているほか、消費者信頼感指数の中の住宅購入意欲を示す指数も高い水準を維持していることから、今後も住宅市場の回復は持続するとみられる。
経済研究部 主任研究員
研究領域:経済
研究・専門分野
米国経済
【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員