経済研究部 准主任研究員
斉藤 誠(さいとう まこと)
研究領域:経済
研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済
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1.1-3月期は前年同期比+4.7%と鈍化
インドネシア中央統計庁(BPS)は5月5日、2015年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDPは前年同期比(原系列)4.7%と前期(同+5.0%)から鈍化し、市場予想(同+4.9%)を下回った。
2.補助金削減の成果を待つ辛抱の時期に
1-3月期の成長率はふたたび2期ぶりに5%台を下回り、力強さに欠ける結果となった。昨年からの原油安は石油の純輸入国であるインドネシアの内需拡大の追い風になるが、その恩恵は1-3月期の成長率として見える形で表れていない。また輸出は中国経済の鈍化、コモディティ安の影響を受けて低迷しており、同国は景気停滞感を払拭できずにいる。
原油価格の下落は、インフレ率の低下による家計の実質所得の向上を通じて消費の改善が見込まれる。しかし、同国は昨年11月に実施したガソリン向け補助金の撤廃とルピア安によるインフレ圧力を受けたため、家計消費の加速には至らなかった。
また貿易収支は輸入の減少を通じて改善傾向にある。これは経常赤字の縮小に繋がるため、同国は原油安の恩恵を享受していると言えよう。ただし、経常赤字が縮小傾向にあるといっても、物価の高止まりと先行きの米国の利上げが見込まれるなかで対ドルのルピア安には歯止めが掛かっていない。中央銀行は2月に続く利下げによる投資喚起は難しく、ビジネス活動指数は低下している。
原油安を追い風に進展させた補助金削減で捻出した財源は、補正予算においてインフラ関連投資の補填に充てられたが、1-3月期は予算執行が間に合わずに投資の伸び悩みに繋がった。しかし、今後は予算執行の本格化に伴って公共事業が実施されるなか、景気は底入れに向かうだろう。
経済研究部 准主任研究員
研究領域:経済
研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済
【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職