最近の米国PE市場の状況~マーケット環境と年金投資家の取組み例~

2015年03月31日

(德島 勝幸) 公的年金

■要旨

日本では、金融緩和が強化される中で、投資マネーの行きどころが見失われている。国内債券から株式や外国証券へという単純なポートフォリオシフトだけでは、仮にリターンを確保できたとしても、証券価格の上下変動によるリスクの増大への対応が不可避となる。多様なリスク性資産への投資を管理するには、基本的には分散投資がベースであり、それに幾つかの高度なリスク管理ツールを補ってやれば良い。分散投資の中で、近年有力視されているのが、プライベートエクイティに代表される流動性を犠牲にしてのリターン向上策である。数年前からこうした取組みの拡大は、公的・私的双方の年金からも意識されているが、必ずしも投資金額の積み上がりは大きくない。ところが、米国のプライベートエクイティ市場は、日本の市場に比べると、とても魅力的に映る。経済の活性度や企業の新陳代謝等を考えると、非上場企業の保有するポテンシャルに期待するものは大きい。また、現実に米国の年金は、プライベートエクイティ投資を実践して、リターンの向上に努めているものが少なくない。改めて、グローバルに規模が最大である米国のプライベートエクイティ市場の状況を概観するとともに、具体的な投資家の取組み例を紹介して、日本の年金による取組みの参考としたい。

金融研究部   取締役 研究理事 兼 年金総合リサーチセンター長 兼 ESG推進室長

德島 勝幸(とくしま かつゆき)

研究領域:年金

研究・専門分野
債券・クレジット・ALM

経歴

【職歴】
 ・1986年 日本生命保険相互会社入社
 ・1991年 ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA
 ・2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社に出向
 ・2008年 ニッセイ基礎研究所へ
 ・2021年より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会検定会員
 ・日本ファイナンス学会
 ・証券経済学会
 ・日本金融学会
 ・日本経営財務研究学会

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