【インドGDP】10-12月期は前年同期比+7.5%~原油安の追い風で景気回復トレンドは鮮明に~

2015年02月10日

(斉藤 誠) アジア経済

1.10-12月期は前年同期比+7.5%

インド中央統計機構(CSO)は1月30日に、国家会計の基準年度を2004-05年度から2011-12年度に切り替えたと発表した。この変更に伴い、2013年度(13年4月~14年3月)の実質国内総生産(GDP)の成長率は前年度比+6.9%と、これまでの同+4.7%から上方修正された。
CSOは2月9日に、2014年10-12月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率(需要側)は前年同期比+7.5%の増加と、前期の同+8.2%(旧基準で同+5.3%)から鈍化した。また、2014年度の成長率(見通し)は前年度比7.4%と、政府予想の5.5%から大幅に上昇した。


2.原油安の追い風で景気回復トレンドは鮮明に

インド経済の先行きは、昨秋からの原油価格の下落によって経常赤字・財政赤字の改善および高インフレ・高金利の緩和を通じて、景気の回復トレンドはより鮮明になると見ている。まず、増加傾向にあった輸入は原油安を始めとした資源価格の下落を受けて12月に前年比▲4.8%とマイナスに転じており、貿易赤字の縮小および経常収支の改善を促している。また、政府は原油価格が下落するなかで燃料税の引上げ(11-12月)など財政再建の取組みを進展させており、財源は来年度予算の財政赤字の縮小およびインフラ投資に配分されると見られる。
消費者物価指数については、昨年12月に前年比5.0%まで低下している。ここ数年高止まりしていただけに、今後は個人消費の回復が期待される。また、中央銀行はインフレ圧力の鈍化を受けて、1月に政策金利を0.25%引き下げ、2月に法定流動性比率を0.5%引き下げたほか、先行きは追加利下げも見込まれ、企業の投資意欲は改善するものと見られる。
懸念材料としては、引き続きねじれ国会が挙げられるが、新政権は国会の承認が得られない保険分野への外資の出資比率規制などにおいては大統領令の発布によって対応している。新政権はこうした改革に向けた前傾姿勢により、企業のインドへの投資意欲を繋ぎ止めることができている。


経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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