8月ECB政策理事会:景気減速懸念、対ロシア関係悪化、ポルトガルの銀行救済が質疑の焦点

2014年08月08日

(伊藤 さゆり) 欧州経済

欧州中央銀行(ECB)が7日に8月の政策理事会を開催、大方の予想通り、現状維持を決めた。

ドラギ総裁は、記者会見で、EUとロシアの対立の激化という地政学的なリスクの高まりに警戒感を示し、景気判断を幾分慎重化した。現段階では、EUとロシアの制裁と報復の応酬の影響を測ることは困難としつつ、情勢が悪化した場合には国債の購入も選択肢となることを認めた。

破綻処理に至ったポルトガルの大手銀行BESの問題は固有のものであり、伝播のリスクはないとの見方を示した。

9月に始まる最長4年のターゲット型資金供給(TLTRO)規模の見通しとして全8回で4500億ユーロ~8500億ユーロとの数字を上げた。

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり(いとう さゆり)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴

・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職

・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
           「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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