ワークプログラムの具体的内容(アウトプットのその時期)について、EIOPA資料から抜粋すると、以下の図表の通りとなっている。
これによると、具体的な活動としては、例えば以下の項目が挙げられている。
1.全ての業務分野におけるサステナブルファイナンスに関する考慮事項の統合
サステナビリティリスク管理
・第3四半期に、気候変動が生命保険と健康保険に与える影響に関する分析を発表する。
・第4四半期に、自然災害保険における適応措置のソルベンシーIIに基づく健全な取扱を評価する。
サステナビリティ報告等による監督
・2027年に、サステナビリティ保険金請求の監督に関する意見を監視する。
・第1四半期又は第2四半期に、ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)の草案について、欧州委員会に意見を提出する。
・第3四半期に、自主的な報告基準に向けたベストプラクティスと推奨事項について、SFDR(サステナブルファイナンス開示規制)に基づくESAs(欧州監督機構)の共同年次報告書を、欧州委員会に提出する。
自然災害保険のプロテクションギャップ
・第4四半期に、自然災害保険のプロテクションギャップダッシュボードの簡易レビューを実施する。
・2027年に、自然災害保険のプロテクションギャップダッシュボードの詳細なレビューを実施する。
・2027年に、プロテクションギャップに対処する上でのCATボンド(大災害債)及びその他の金融市場ソリューションの役割を評価する。
・2027年第2四半期に、自然災害プロテクションギャップの需要側の側面により適切に対処するために、NCAsを支援するためのツール(技術への依存を含む)を開発する。
2.デジタル変革を通じた消費者、市場、監督機関の支援
イノベーションの監督
・第4四半期に、Al法の実施及び監督を支援及び監視する。
・第4四半期に、保険市場におけるAlの使用に関する規制の枠組みをさらに明確にし、NCAsの監督を支援する。
・第4四半期に、不公正な差別的慣行及び市場の継続的な監視に繋がる関連ツールを通じて、Alの事例を分析及び対処する。
3.健全性と事業運営の監督の質と有効性の向上
監督上のコンバージェンスツールの開発又は検討
・第2四半期に、プライベート・エクイティの保険会社所有の認可及び継続的な監督に関する監督上のコンバージェンス声明、ハンドブックを通じたより詳細なガイダンスの草案を作成する。
・第4四半期に、NCAsに対し、リスク軽減手法としての再保険の利用の監督に関するガイダンスを提供する(協議のためのスライド式コミッション(損失率に基づいてコミッションを調整)及び資産集約型再保険におけるリスク軽減手法の利用に関するEIOPA意見書に対する新たな付属書)。
・第4四半期に、監督上のコンバージェンスツール(例えば、意見書、監督上の声明、ピアレビュー)を通じて対処すべき優先事項を特定するための新たなリスクベースの手法を開発する。
・第3四半期に、(再)保険会社による再保険の利用の監督に関するピアレビューを最終決定する。
・2027年に、(再)保険会社のサステナビリティリスクの評価の監督に関するピアレビューを最終決定する。
内部モデルの質の高い効果的な監督
・第4四半期に、内部モデル活動のための三年間のロードマップを作成する。
・ロードマップに基づいて、異なるリスクに関する定期的な比較研究を実施する。
同等性評価
・第4四半期に、完全同等性の国について、個々の第三国レポートを提供する。
4.技術的に健全な事業行為及び健全性政策の確保
ソルベンシーIIのレビュー
・ソルベンシーIIのレビューを受けて、技術基準、ガイドライン及び報告書を作成及び更新する。
・2030年1月に、ソルベンシー資本要件(SCR)の計算に関する標準式をレビューする。
・2032年1月に、グループ内の関連信用機関のソルベンシー資本要件の取扱いを監視し、報告する。
5. 金融安定性に対するリスクの特定、評価、モニタリング及び報告、ならびに新たな脅威と再建・破綻処理に焦点を当てた予防政策及び緩和措置の推進
・金融安定性報告書、保険リスクダッシュボード、IORPリスクダッシュボード、流動性モニタリングを定期的に公表・更新・実施する。