NEW

ユーロ圏失業率(2025年8月)-失業率は6.3%で低水準だがやや悪化

2025年10月03日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:全体の失業率は6.3%

10月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年8月、季節調整値)】
1(6.2%)から上振れ、前月(6.2%)から上昇した(図表1・2)
失業者は1084.2万人となり、前月(1083.1万人)から1.1万人増加した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:国別にはスペインの改善傾向とドイツの悪化傾向が継続

ユーロ圏(20か国)の8月の失業率は6.3%となり、過去最低水準となった7月(6.2%)からやや上昇した。なお、過去データはほとんど改定されなかった。

失業者数は8月の前月差で1.1万人増とやや増加した。主要4か国ではドイツ(0.3万人)、イタリア(0.7万人)が増加する一方で、スペイン(▲1.3万人)、フランス(▲0.6万人)が減少した。失業者数はコロナ禍前より85万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲74万人)が大きく、次いでイタリア(同▲35万人)が減少に寄与している。一方、ドイツやフランスはコロナ禍前よりそれぞれ23万人、14万人失業者が多い(図表3)。

8月の若年失業率は14.0%となり、7月(14.0%)から横ばいで、コロナ禍以降の最低水準(23年3月の14.0%)で推移している。なお、若年失業率は過去データがわずかだが悪化方向に修正されている(7月13.9%→14.0%、6月14.3%→14.4%、5月14.5%→14.6%)。若年失業者数は8月で222.0万人(前月差▲0.4万人)と減少し、若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.6万人)を下回っている(図表4)。
国別の8月のデータを見ると、失業率は公表されている20か国中、悪化した国が7か国、改善が6か国、横ばいが7か国だった(図表5)。若年失業率は、公表されている16か国中、悪化した国が5か国、改善が9か国、横ばいが2か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と非労働力人口が増加、就業者が減少し、労働参加率はやや低下した(図表7)。ポルトガルは失業者と非労働力人口が減少、就業者が増加した(図表8)。ポルトガルでは労働参加率の増加が続き、コロナ禍後の最高値を更新している。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
  アドバイザー(2024年4月~)

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)