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女性の低体重・低栄養症候群(FUS)とは?-日本肥満学会が新たな疾患概念を提唱、プレコンセプションケアが解決の一助となるか-

2025年06月17日

(乾 愛) 医療

■要旨

本稿では、2025年4月17日に日本肥満学会が提唱した18歳から閉経前の女性における低体重・低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)という新たな疾患概念について概説している。

FUSは、「低体重または低栄養の状態を背景として、それを原因とした疾患・症状・兆候を合併している状態」と定義されており、関連する健康障害としては「低栄養・体組成の異常」、「性ホルモンの異常」、「骨代謝の異常」、「その他の代謝異常」、「循環・血液の異常」、「精神・神経・全身症状」等がある。 

FUSの原因には、(1)体質性痩せ、(2)SNS,ファッション誌などのメディアの影響による痩せ志向、(3)社会的経済的要因・貧困などによる低栄養と大きく分けて3つの視点がある。

FUSの様な低体重・低栄養状態では、女性ホルモンの減少や卵巣機能の低下を招き、無月経状態が不妊症リスクを高める要因となる可能性がある。将来の健康的な妊娠を見据えた事前の健康管理であるプレコンセプションケアに関する取組みは、FUSの早期発見・対応につながる可能性がある。

■目次

1――はじめに
2――女性の低体重・低栄養症候群(FUS)とは?
  1|FUSの概念と留意点
  2|FUSの3つの原因
3――切り札はプレコンセプションケア

生活研究部   研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任

乾 愛(いぬい めぐみ)

研究領域:

研究・専門分野
母子保健・不妊治療・月経随伴症状・プレコンセプションケア等

経歴

【職歴】
2012年 東大阪市入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社

・大阪市立大学(現:大阪公立大学)研究員(2019年~)
・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)非常勤講師(2023年~)
・文京区子ども子育て会議委員(2024年~)

【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者

【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会

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