ユーロ圏失業率(2025年4月)-失業率は6%台前半の低水準で安定

2025年06月04日

(高山 武士) 欧州経済

1.結果の概要:失業率は6.2%で横ばい圏での推移

6月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年4月、季節調整値)】
失業率は6.2%、市場予想1(6.2%)と一致、前月(6.3%)から低下した(図表1・2)
失業者は1068.0万人となり、前月(1088.7万人)から20.7万人減少した

 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:増加傾向にあった失業者数が大幅に改善

ユーロ圏(20か国)の4月の失業率は6.2%となり、3月(6.3%)からやや低下した。なお、過去データはやや悪化方向に改定された(3月6.2%→6.3%、2月6.2%→6.3%、1月6.2%→6.3%)。

失業者数は4月の前月差で20.7万人減と大幅に減少した。主要4か国のいずれもが減少し、フランス(▲9.8万人)、イタリア(▲4.8万人)、スペイン(▲1.2万人)、ドイツ(▲0.3万人)となった。失業者数はコロナ禍前より100万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲62万人)が大きく、次いでイタリア(同▲37万人)も減少に寄与している(図表3)。なお、直近では失業者数が24年12月以降、基調的には増加傾向にあったが4月は単月で大幅に減少した。

4月の若年失業率は14.4%となり、3月(14.8%)から低下した。なお、若年失業率は過去データが大幅に悪化方向に修正されている(3月14.2%→14.8%、2月14.3%→14.7%、1月14.3%→14.7%など)。若年失業者数は4月で227.2万人(前月差▲7.4万人)と減少し、若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.8万人)を下回っている(図表4)。
国別の4月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が3か国、改善が11か国、横ばいが6か国だった(図表5)。若年失業率は、公表されている16か国中、悪化した国が3か国、改善が12か国、横ばいが1か国だった(図表6)。
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少、就業者がほぼ横ばい、非労働力人口が増加した(図表7)。ポルトガルは失業者が減少、就業者が大幅増、非労働力人口が大幅減だった(図表8)。労働参加率はイタリアで微減、ポルトガルで上昇した。イタリアの労働参加率はコロナ禍以降の最高水準付近にあり、ポルトガルではコロナ禍以降の最高値を更新している。

経済研究部   主任研究員

高山 武士(たかやま たけし)

研究領域:経済

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴

【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職

 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
  アドバイザー(2024年4月~)

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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