(2) 地域別の業績-2023年との比較-
Zurichの決算数値は米ドル建で報告されているため、2023年との比較を見る上では、2024年の米ドルの主要通貨に対する状況等を考慮しておく必要がある。Zurichは通貨変動が各種指標に与える影響を開示している。
グループ全体の営業利益は、5%増加して77億51百万ユーロとなった。このうち、生命保険事業が8%増加して22億35百万ドル、損害保険事業が8%増加して42億4万ドル、Farmersが若干減少して22億86百万ドル、その他のノンコア事業やグループ機能で▲974百万ドルとなった。
営業利益(生保)の地域別の状況については、以下の通り。
・EMEAは、主にアイルランドとスイスの手数料ビジネスが好調に推移し、営業利益は前年比24%増の16億ドルとなった。また、準備金の取り崩しやドイツにおけるレガシー・バックブックの処分完了していないことによる非経常的な影響もあった。
・北米では、50百万ドル減少して57百万ドルとなり、死亡率の改善による影響は、前提条件の更新による不利な影響によって相殺された。
・アジアでは、12%減少して2億43百ドルとなったが、これは主に前年のオーストラリアにおける再価格決定措置による非経常的な好影響によるものである。
・ラテンアメリカでは、12%減少した。短期保障の技術的業績の伸びが、投資業績の減少、アルゼンチンにおけるインフレと通貨安の影響により相殺された。
営業利益(損保)については、以下の通り。
・全体では8%増加して42億ドルとなった。これは、北米における異常災害損失の増加により一部相殺されたものの、EMEAの好調な業績に牽引されたものである。
・EMEAでは、主に保険料の伸び、リテールの力強い回復、及び投資業績の改善により、前年比で6億72百万ドル増加した。
・北米では、主に約4億ドルの異常災害損失の増加により、前年比で13%、3億34百万ドルの減少となった。
・アジア・太平洋では、主に保険料の増加、良好な損害実績、投資利益の増加により、18%増加した。
・中南米では、保険料の伸びとコンバインドレシオの改善により、23%増加した。
なお、新契約価値は、全体で5%増加した。
CSM残高は1.1%増加して、11,657百万ドルとなった。