2|今回のガイドラインの概要
1999年IRDA法第14条に基づく権限の行使として、今回以下の2つのガイドラインが発出された。
(1) IRDAI(保険会社の非業務執行取締役の報酬)ガイドライン2023 (付属書A)
(2) IRDAI(保険会社のKMPsの報酬)ガイドライン2023 (付属書B)
これらのガイドラインは、IRDAIによる説明によれば、「個々の報酬の特定の形態や水準を規定することによって、保険会社が熟練した人材を引き付け、維持する能力を不当に制限したり、低下させたりすることを意図したものではなく、むしろ、過度のリスクテイクを回避するために、保険会社の長期的利益と報酬方針の整合性を促進し、それによって保険会社の健全なガバナンスと顧客の公正な処遇を促進すること」を目的としている。
保険会社の取締役会は、過度又は不適切なリスクテイクを誘発することなく、保険会社の企業文化、目的、戦略、特定されたリスク選好及び長期的利益に合致し、保険契約者その他の利害関係者の利益を適切に考慮した書面による報酬方針を採用し、その効果的な実施を監視することが求められる。
さらに、管理機能に関与する職員の完全性と客観性を損なう可能性のある利益相反の可能性も管理されるべきとしている。
具体的には、以下の内容が決定されている。
a.CEO以外のKMPs(主要な経営幹部)の報酬もガイドラインの範囲内とする。
b.取締役及びKMPsの報酬総額、変動報酬繰延、マルス及びクローバック規定
3、会計処理、開示等について、変動報酬の範囲をより明確にする。
c.保険会社の取締役及び経営幹部の報酬に関するガイドラインを改訂する。
3 顕在化したリスク等に基づいて、繰り延べている報酬の減額を図るのが「マルス(malus)」であり、既に支払った報酬を返還させるのが「クローバック(clawbacks)」となる。