5|Aegon
Aegonは、3つのコア市場(米国、オランダ、英国)、3つの成長市場(スペイン&ポルトガル、中国、ブラジル)、1つのグローバル資産運用会社のビジネスに焦点を当てている。
Aegonの2021年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2021年3月1日に、英国を拠点とする傷害保険商品のプロバイダーであるStonebridgeをEmbignellグループの一部であるGlobal Premium Holdings Groupに約6000万ポンド相当の対価で売却することを無事に完了したと発表した。
2021年7月7日に、2020年の最終配当と上級管理職向けの特定の株式ベースの変動報酬プランの両方の希薄化効果を中和するために、1億3,300万ユーロの普通株式を買い戻すと発表した。なお、これは8月23日に完了した。
2021年8月12日に、2005年に発行された最低4%のクーポンで2億5000万米ドルの変動金利永久資本証券を償還する権利を行使すると発表した。償還はAegonのレバレッジ削減目標に沿ったものである。
2021年8月13日に、欧州委員会は、ウィーン保険グループAG Wiener Versicherung Gruppe(VIG)による中東欧でのAegonの事業の買収について競争法上の認可を与えることを決定した。一方で、AegonとVIGは、9月20日に、ブダペストメトロポリタン裁判所から、この買収を阻止するというハンガリー内務省の決定に異議を唱えた共同控訴を却下したとの通知を受けた、と発表した。これに対して、AegonとVIGは、ハンガリー最高裁判所に上訴する予定だと述べた。
2021年9月17日に、株式で支払われた2021年の中間配当の希薄化効果を中和するために、9,600万ユーロの普通株式を買い戻すと発表した。これらの株式は自己株式として保有され、将来の配当金の支払いに使用される。10月27日に、この自社株買いプログラムは完了した。
2021年12月15日に、RGAにより、オランダでの長寿エクスポージャーの追加部分に再保険をかけたことを発表した。再保険契約は、70億ユーロの年金債務に関連する長寿リスクに対する保障を提供する。2019年12月にAegonが実施した同様の長寿再保険契約と合わせて、オランダの生命保険事業の長寿リスクエクスポージャーの約40%が軽減されることになる。これはオランダの生命保険事業のソルベンシーII比率を約15%ポイント、グループのソルベンシーII比率を約5%ポイント増加させる。
2021年12月22日に、VIGは、「ウィーン保険グループとハンガリーは、ハンガリーの保険会社であるAegonとUNION Vienna Insurance Group AGに関する協力の概要とさらなる手続きについて合意に達した。」として、これにより「ハンガリーのAegon企業とUNION Vienna Insurance Group Biztosító Zrt.に、ハンガリー国が45%参加することができることになる。」と発表した。また、「VIGの支配権と運営管理を伴う協力の構造は、さらなる交渉の対象となる。ハンガリー政府は、100%国営のハンガリー持株会社であるCorvinus Nemzetközi Befektetési Zrtを交渉パートナーとして指名した。」と発表した。
なお、Aegonは2022年に入ってからも、以下のような動きを見せている。
2022年1月7日に、株式ベースの報酬プランのために5千万ユーロの株式を買い戻すと発表し、1月25日に完了した。
2022年2月16日に、VIGがCorvinus Nemzetközi Befektetési Zrtを保有するハンガリー国との間で合意に達したと発表した。これによると、「ハンガリーのVIG会社は、ハンガリーのVIG持株会社(VIG Magyarorszag Befektetesi Zrt)と2つのオランダの持株会社(Aegon Hungary Holding BVとAegon Hungary Holding II BV)によって保有される。Corvinusは、これら3つの持株会社のそれぞれで45%の非支配少数株主持分を取得する。これらの持株会社への3つの45%の参加について合意された購入価格は、約3億5,000万ユーロになる。UNION Vienna Insurance Group Biztosito Zrtの株式の98.64%は、ハンガリーのVIG持株会社に提供される。オランダのAegon持株会社2社は、ハンガリーのAegon(保険、資産運用、年金基金、サービス会社)の株式を100%保有している。VIGは、これら3つの持株会社の55%の支配的過半数持分を保持する。」ことになる。次のステップでは、3つの持株会社を統合し、ハンガリーのVIG持株会社を中央ステアリングユニットとして指定する予定であると述べた。
以上、ここまでのハンガリー政府とVIGを巡る取引の構図の概要は、以下の図表の通りとなっている(筆者作成)。