この章では、DBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)とED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)という株式リスク措置の適用状況について報告する。
1|DBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)
2019年12月31日時点においては、フランスの会社1社のみが適用しており、これは2018年と同様である。
当該会社のSFCR(ソルベンシー財務状況報告書)によれば、DBERを非適用にすることでSCR比率はDBER有り(ただし、TTP及びVA適用無し)の156%から132%へ24%ポイント低下する。
なお、2017年の報告書によれば、11カ国(チェコ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイスランド、リトアニア、ラトビア、オランダ、ポーランド、スロバキア、ブルガリア)で、DBERは国内法で規定されておらず、残りの国々では、以下の理由からDBERが適用されていない、としていた。
(1) 国内市場の商品がソルベンシーII指令第304条の基準を満たしていない。
(2) 会社が年金市場であまりアクティブでない。
(3) このサブモジュールへの必要性や関心が無い。
(4) ソルベンシーII指令第308条b(13)の株式移行措置
4のため、DBERを適用するインセンティブが今のところない。ただし、移行措置の段階的消滅の過程でより多くの適用があるかもしれない。
4 2016年1月1日以前に購入した株式についての移行措置
2|ED(又はSA)(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)
2020年の報告書においては、SAが会社の財務状況に与える影響に関する会社への情報要求はなかった。代わりに、SCRに対するSAの財務的影響はQRT(定量的報告テンプレート)データを使用して決定された。具体的には、株式の種類別エクスポジャー(タイプ1株式、タイプ2株式等)を用いて算出している。そして、SCR全体は基礎となる前提に基づいて集約されている。例えば、SAを削除する際に、リスク軽減手法の影響は考慮されていない。
2019年12月31日のSAは▲0.08%であったため、SAをゼロに設定しても、SCRの計算に適用される株式エクスポジャーに与える影響は無視できる程度であり、EEA及び各国レベルでも、SCRには殆ど影響しない。
4―ERPの国別の適用状況