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具体的な項目
EIOPAは、2019年においても監督の統一は順調に進歩したと自己評価しているが、例えばソルバンシーIIのレビューなどを通じて、通常の規制と監督統一方針双方の観点から、さらに検討すべき課題が多いことがわかってきた。
そうした点を踏まえて、より具体的な項目が設定されているが、その優先順位は2019年のもの((1).共通の監督文化を実践する規定化 (2)監督の裁定を排除した公平な競争や国内市場に対するリスクへの対応 (3)エマージングリスクの監督)に加え、全く新しい3項目、すなわち
・監督へのIOT技術の利用 (いわゆるインシュアテックの監督版に相当し、SupTechと表現されている。)
・年金基金の監督に関する分野
・サイバーリスクに対応する保険の開発と管理
を追加し、ソルベンシーIIに関するレビューに端を発する項目として、内部モデルの検証、準備金の算出方法、、グループ監督の統一などの事項にも触れている。以下具体的に挙げられている項目である。
1.共通の監督文化を創造し実践するための、規定づくりへの取り組み
a.リスク評価の枠組みと、各国の実情に応じた適用
b.国内市場の共通のベンチマークの作成
c.コンダクトリスク監督の評価
d.グループレベルの監督
e.キャプティブの監督
f.各国間で共通項目を設定した情報交換を行い、規制適用の可否を検討すること
g.監督へのIOT技術の利用(新規)
より柔軟で素早い監督のために、EIOPAと各国監督者による、情報システム活用の確立
2.監督の裁定を排除した公平な競争や国内市場に対するリスクへの対応
a.責任準備金の算定
b.国境をまたぐ取引
c.内部モデルからの結果の評価
d.各国との情報交換による、各国における規制適用の可否の検討
e.リスク軽減手法と新しい財務エンジニアリングの利用
f.年金基金の監督に関する問題(新規)
年金基金に対する適切な監督を行うため、監督上のリスクを特定し、そのモニターを行っていく。また年金基金の監督の基準書の適用を、プルーデントパーソンルールの監督の実践から開始する。
3.エマージングリスクの監督
a.サイバーリスクを含むデータ管理、ITセキュリティ、経営リスク管理に関するもの
特に、サイバー攻撃に対応するサイバーセキュリティ対策が追加された。
b.インシュアテック
特に情報システム内の個人情報の保護の方針の策定については、新規ビジネスでの取り扱いや、競争の公平性・倫理的な配慮も含めて検討されるべきこととされている。
c.ブレグジットへの対応
d.ランオフ契約の監督
e.銀行間調達金利指標(IBOR)の改革への対応
f.サイバーリスクの保険引受け (新規)
どういったときにサイバーリスクが顕在化するか、システム面の脆弱性の評価の研究などを含むサイバーリスク管理を進展させることと、一方で、サイバーリスクに関わる保険引受けを促進すること。またそれに対する監督手法の検討。
3――おわりに