1|Munich Re
Munich Reは、その2020年第1四半期の業績発表
7において、「COVID-19 関連の損失の影響で四半期利益が低下」と述べた。
Munich Reの第1四半期の利益は、グループ全体で、前年同期の6億3,300万ユーロから、2億2,100万ユーロに大幅に減少した。また営業利益も、前年同期の7億7,100万ユーロから3億9,700万ユーロに減少した。
COVID-19 関連の損失は、特にイベント中止保険を中心に、合計で約800百万ユーロに達したとしたが、また「COVID-19による多額の損失は、Munich Reにとって財政的に管理可能である。」と述べた。
さらに、「2020年3月31日に発表されたとおり、2020/2021年に予定されていた自社株買いプログラムの実施は、追って通知があり、COVID-19から生じる実際の負担と潜在的なオーガニック又はノンオーガニックなビジネスチャンスのための資本要件の両方がより明確になるまで中止された。」と述べた。
損害保険再保険事業においては、大規模損失が正味収入保険料の21.1%に相当して、長期平均期待値の12%を大きく上回った。人為的な大規模損失は、9億7,300万ユーロで、これは主に、コロナウイルスのパンデミックによる主要イベントの中止又は延期に起因する損失によるものだとしている。
また、生命保険・医療再保険事業においては、COVID-19による顕著な影響はないとしている。
子会社の元受保険グループであるERGOについては、COVID-19は、第1四半期の引受け業務に大きな影響を与えなかったとしている。
今後の見通しに関しては、以下のように述べている。
「2020年3月31日、Munich Reは、主要イベントの中止又は延期によるCOVID-19関連の損失、及びCOVID-19のマクロ経済的及び財政的影響に関する大きな不確実性により、それ以外の場合は想定に沿った人為的及び自然災害による大きな損失を仮定したとして、2020年全体で28億ユーロの利益見通しを達成できない、と発表した。
進行中の不確実性を考慮して、Munich Reは現時点で2020年の新しい利益目標(以前は約28億ユーロ)を指定しない。同様に、再保険事業分野の利益ガイダンス(以前:約23億ユーロ)と、損害保険再保険のコンバインドレシオ(以前:約97%)を撤回した。
Annual Report 2019で発表された他のサブターゲットは変更されていない。しかし、コロナウイルスのパンデミックのさらなる進展とその経済的影響に関するかなりの不確実性を考えると、Munich Reは、その全ての目標値は達成されないという非常に高いリスクに直面している。」
なお、Munich Reは、4月6日に「コロナウイルス:Munich Reへの影響
8について公表している。この中で、例えば、以下のように述べている。
「Munich Reは、2月28日の年次バランスシートメディア会議で発表されたように、年次総会で、1株あたり9.80ユーロの配当を株主に提案する。ただし、大規模イベントの中止と延期、及びCOVID-19のマクロ経済的及び財政的影響に関する大きな不確実性が主な原因で、既に発生した保険金支出を考えると、Munich Reは、今日の観点から、それ以外の場合は想定に沿った人為的及び自然災害による大きな損失を仮定したとして、2020年全体で28億ユーロの利益見通しを達成しないだろう。損害保険セグメントの多くの事業分野(事業の中断など)では、保険カバーからパンデミックの発生リスクを除外することが一般的な市場慣行となっている。しかし、COVID-19が発生し、主要なイベントの中止又は延期に関する保険金請求が発生する。さらに、景気後退の結果として、他の事業部門でも損失が発生する可能性がある。
生命保険と健康保険における損失の予想は、特に北米では、死亡率の推移に大きく依存している。 200年に1回のイベントに相当する多くの死亡者がいる世界的なパンデミックは今日の見通しから除外することはできないが、そのようなシナリオでの保険金請求は、損害保険の再保険における中規模の自然災害のコストを超えないだろう。
資本市場では、金利のさらなる下落、株式市場の急激な下落、債券の信用リスク・スプレッドの拡大が観察されている。これは当社のソルベンシー比率に影響を与えるが、ヘッジ及び当社の投資の幅広い分散化は、その影響を部分的に緩和させる。現状では、Munich Re(グループ)のソルベンシー比率は、当社の内部制限及びトリガーシステムの最適範囲(175%~220%)内に問題なく留まっている。Munich Reは、全ての要件に沿って非常に堅実な資本を有したままであり、その強力なバランスシートにより、クライアントの信頼できるパートナーとなっている。
全体的な経済的な観点から見ると、結果はウイルスが如何に早く封じ込められるのかに大きく依存しているが、現時点ではウイルスの影響が拡大すると予測している。もし、今後数週間でパンデミックが抑制され、正常な経済に戻る可能性がある場合、私たちは非常に鋭いが一時的にすぎない不況を予想している。」
また、第1四半期業績発表時のプレゼンテーション資料
9では、「引き続きの高い不確実性を有した動的な状況下で、保険業界の資産と負債に影響を与えている」として、以下の点を述べている。
・生命保険事業への財務的影響を評価するのは時期尚早
・コンティンジェンシー請求は既に観察されており、その他のラインにおける請求は年の残りでより関連してくる。
・ボラティリティが投資ポートフォリオに影響を与えるが、ソルベンシーII比率は212%以上で十分に最適範囲内に収まっている。