日本の生命保険会社や損害保険会社の数社は、100%子会社や合弁事業によりミャンマーにおける保険事業に参入に向けた認可等準備を進めていたが、2019年11月28日にミャンマーの計画・財務省(Ministry of Finance & Planning)から認可等を取得したことを各社公表した。
100%子会社を通じて参入を予定していた第一生命保険は11月28日に同社の100%子会社であるDai-ichi Life Insurance Myanmar Ltd.(以下、「第一生命ミャンマー」)がミャンマー計画財務省より正式に生命保険事業認可を取得したことを公表し、第一生命ミャンマーは事業開始に向けた準備を進めていくことを発表した
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日本生命保険はミャンマーのシュエタングループ傘下のグランド・ガーディアン・ライフ・インシュアランス社(以下、「グランド・ガーディアン・ライフ」)の株式35%の取得について、所定の手続きを経て出資を完了するとともに、ミャンマー金融当局から生命保険合弁事業に係る認可を取得したことを発表した
4。今回の出資に伴い、グランド・ガーディアン・ライフは社名を「グランド・ガーディアン・ニッポンライフ・インシュアランス」((以下、「グランド・ガーディアン・ニッポンライフ」)に社名を変更していることを合わせて発表している。日本生命保険は、ミャンマーの生命保険市場は今後、長期にわたって高い成長が期待できるマーケットであるとし、グランド・ガーディアン・ニッポンライフに取締役を派遣し、取締役会を通じた経営に関する助言等を行うとともに、駐在員等を通じ、実務レベルでの経営サポートを推し進める方針であり、ミャンマー国内におけるシュエタングループのブランド力や強固な事業基盤をベースに、日本生命保険の幅広い領域における経験やノウハウを提供することで、グランド・ガーディアン・ニッポンライフの安定的かつ持続的な成長に貢献し、同社の収益向上、ひいてはご契約者利益の拡大を図っていくとしている。
太陽生命保険は、同社の関連会社であるミャンマーのCapital Life Insurance Limited(以下、キャピタル・ライフ社)でのジョイントベンチャー(合弁事業)について、11 月28 日、ミャンマー政府から最終承認を取得したこと、また、キャピタル・ライフ社の社名をCapital Taiyo Life Insurance Limited(以下、キャピタル・タイヨウ・ライフ社)に変更したことを発表した
5。太陽生命保険は、2019年8 月22 日にキャピタル・ライフ社に出資し、同社の海外関連会社としていた。キャピタル・タイヨウ・ライフ社は、ミャンマーにおいて100 拠点、5,000 名の営業体制の構築を目指し、また、最新のITサービスを導入し、2020 年から、ペーパーレス手続き、キャッシュレス手続きをスタートさせ、ミャンマーで最も先進的なサービスの提供を目指すとし、タブレット端末による保険加入申込み、スマートフォンによる保険料収納・契約内容変更・保険金支払などを予定しているとしている。太陽生命保険は、今後も日本で培った生命保険事業のノウハウを最大限活用し、ミャンマーにおいてキャピタル・タイヨウ・ライフ社を通じた事業を展開するとともに、国営企業であるミャンマー保険公社及び保険協会への協力を継続することにより、ミャンマー保険業界の一層の発展に貢献してくとしている。
東京海上ホールディングスは、2019 年11 月28 日付けで、ミャンマー当局から、同社の子会社である東京海上日動火災保険が、同国で損害保険合弁会社を設立することに関する承認が出され、Grand Guardian Tokio Marine General Insurance Company Limited(以下「GGITM 社」)の営業を開始することになったことを発表した
6。東京海上ホールディングスは、GGITM 社へ取締役及び専門人材を派遣し、急速に成長するミャンマー保険市場での事業拡大に努めていくとしている。
SOMPOホールディングスは、同社の100%子会社である損害保険ジャパン日本興亜とミャンマーの損害保険会社であるAYA Myanmar General Insurance社(以下「AMGI社」)が、2019年11月28日に合弁会社設立の正式認可を現地当局から取得したこと、正式認可取得に際し、AMGI社はAYA SOMPO Insurance Company Limited (以下「AYA SOMPO社」)へ社名変更したことを発表した
7。SOMPOホールディングスは、現地当局の規制緩和の進展を踏まえつつ、ティラワ経済特区における元受保険サービス、同特区外での国営保険会社を介した保険サービスを、順次AYA SOMPO社による元受保険サービスに一本化し、お客様の利便性とサービスの一層の向上を図っていくとし、また、AYA SOMPO社に資本のみならず当社グループの優れた技術・人材を投入することで、同社業績の持続的な拡大、ガバナンスの向上を図り、延いては同国における「保険」の浸透と、市場の発展に寄与していくとしている。
三井住友海上火災保険は、ミャンマーの大手民間損害保険会社であるKBZ MS General Insurance社(IKBZ Insurance社から社名変更)への10%出資 について現地当局からの最終認可に必要な条件を充足し、2019年11月28 日付けで認可を取得したことを発表した
8。同社は、出資に加え、取締役及び駐在員を派遣しミャンマーへ進出する日系企業に安定的かつ高品質な商品・サービスを提供するとともに、アジア地域の基盤を一層強化し海外事業の持続的発展を目指すとし、出資比率については、今後の現地局承認を前提に、外資規制の上限である35%までの引き上げを目指すことを、KBZ MS General Insurance社と合意しているとしている。
また、日本生命保険が出資するグランド・ガーディアン・ニッポンライフと東京海上日動火災保険が出資するGGITM 社を傘下に持つグランド・ガーディアン・インシュアランス・ホールディングは日本の保険会社2社との合弁事業により、国際標準の生命保険と損害保険をワンストップサービスとして提供できるとしている
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これらの日本の保険会社の参入のほか、英国のPrudential、香港のAIA、米国のChubb、カナダのManulifeが100%子会社を通じた参入について認可され、Citizen Business Insuranceとバンコクに拠点を置くタイライフとの合弁事業も認可されたことが報じられている
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4――最後に