また、中国経済の健康状態を見る上では、機会が平等に与えられるかも重要な視点となる。そこで、UNDPが開発した不平等係数(Coefficient of HumanInequality)を確認してみた。この係数は、健康で長生きできる機会が平等かを見る寿命不平等(Inequality in LifeExpectancy)、教育を十分に得る機会が平等かを見る教育不平等(Inequalityin Education)、生活に必要な収入を得られる機会が平等かを見る収入不平等(Inequality in Income)で構成されており、それぞれアトキンソン不平等尺度(Atkinson Inequality Index)を用いて評価した上で、3つを算術平均して求められる。なお、不平等係数は通常0~100の間の値を取り、数が大きいほど不平等であることを示している。現在と過去(2012年)を対比して見ると、中国の不平等係数は22.1%から15.6%へ大幅に改善しており、特に寿命と教育の不平等の低下が著しい。一方、収入不平等も29.5%から27.4%へ改善しているものの、依然として高水準である。但し、国際比較して見ると、米国の収入不平等は逆に24.1%から26.6%へ拡大しており、中国との差はほとんど無くなってしまった。