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企業物価指数(2019年11月)―国内企業物価は前年比プラスに転じるが、消費税を除くベースではマイナス圏での推移が続く
2019年12月11日
(藤原 光汰)
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1.国内企業物価は前年比プラスに転じる
12月11日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2019年11月の国内企業物価指数は前年比0.1%(10月:同▲0.4%)と、6ヵ月ぶりに前年比でプラスに転じた。事前の市場予想(QUICK集計:前年比0.0.%、当社予想は同0.1%)を小幅に上回る結果となった。一方、消費税率引き上げ分を除いた11月の国内企業物価は、前年比▲1.5%(10月:同▲1.9%)となり、前月から下落幅が縮小したものの、前年比で大幅なマイナスが続いている。11月の企業物価指数は、経過措置の対象品目についても10%の消費税が適用されたことにより、消費増税によって前月より0.1%pt大きい1.6%pt押し上げられた。
足元の原油相場を反映し、石油・石炭製品が前年比▲9.9%(10月:同▲15.6%)とマイナス幅が大きく縮小し、前年比寄与度でも10月の▲1.14%ptから11月は▲0.69%ptとマイナス幅が縮小したことが企業物価の下落幅拡大に歯止めをかけた。
国内企業物価指数は前月比では0.2%(消費税を除くベースでは前月比0.1%)の上昇となった。消費税を除くベースで内訳をみると、石油・石炭製品が前月比1.8%(10月:同▲0.4%)と6ヵ月ぶりにプラスに転じた。ガソリン(10月:前月比0.1%→11月:同:1.6%)、灯油(10月:同▲0.1%→11月:同:2.9%)、軽油(10月:同0.2%→11月:同:2.8%)などの石油製品が大幅に上昇したほか、輸入先である米国での需要増加により液化石油ガスが前月比13.1%(10月:同4.1%)と上昇幅を大きく拡大させたことなどが石油・石炭製品を押し上げた。その他、中国の景気減速を背景として下落が続いていた銅価格の下げ止まりを受けて、非鉄金属が前月比0.4%(10月:同▲0.5%)と8ヵ月ぶりに上昇に転じたこと、台風の影響で高騰が続く鶏卵などの農林水産物が前月比0.3%(10月:同▲0.1%)と上昇に転じたことなども押し上げ要因となった。
2.輸入物価は下落幅が拡大
11月の輸入物価指数
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は、契約通貨ベースでは前月比▲0.3%(10月:同▲0.1%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。11月のドル円相場は前月比0.7%の円安水準となったことから、円ベースでは前月比0.2%(10月:同0.4%)と2ヵ月連続の上昇となった。
契約通貨ベースで輸入物価指数の内訳をみると、鉄鉱石の価格上昇(10月:前月比0.0%→11月:13.0%)などから金属・同製品が前月比2.7%(10月:同0.7%)と上昇幅を拡大させたが、電子部品・デバイスや情報通信機器の下落により、電気・電子機器が前月比▲1.2%(10月:▲0.3%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、石油・石炭・天然ガスが前月比▲1.2%(10月:同0.5%)となったことが輸入物価の下落要因となった。
為替レートは一進一退の動きが続いているが、原油価格(ドバイ)は上値の重い展開が続いていること、世界需要の減速を反映した国際商品市況の低調な推移により、輸入物価指数は先行きも弱めの動きが続くと予想される。
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輸入物価指数は、消費税を除くベースで作成されている
3.素原材料の下落幅は拡大。先行きも川下への価格に波及する
11月の需要段階別指数(国内品+輸入品)
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をみると、素原材料が前年比▲14.5%(10月:同▲13.3%)、中間財が前年比▲3.0%(10月:同▲3.3%)、最終財が前年比▲2.0%(10月:同▲2.3%)となり、すべての需要段階でマイナスとなった。素原材料は国際商品市況を反映しやすく、原油や非鉄金属などの資源価格の下落が影響し、前年比で大幅マイナスが続いている。当面は素原材料の下落が後ズレして中間財、最終財の価格に波及すると考えられる。
また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比▲2.5%(10月:同▲3.1%)と7ヵ月連続でマイナスとなった。
消費増税後の国内需要の弱さを反映し、国内企業物価は今後も弱い動きが続く公算が大きい。国内企業物価は消費税を除くベースでは当面、前年比でマイナス圏の推移が続くと予想する。
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需要段階別指数は、消費税を除くベースで作成されている
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